電取委 長期脱炭素電源オークション監視検討
電力・ガス取引監視等委員会は、長期脱炭素電源オークションにおける、他市場収益の監視の在り方や監視業務の詳細を整理するため、同委事務局長の下に、会計士などの専門家による検討会を設置する。
23年度に開始した同オークションについては、事業者が4年後の1年間における市場価格を予想し、他市場収益を見積もった上で入札に参加する、容量市場のメインオークションとは異なり、長期間にわたる精度の高い他市場収益の見積もりが困難であるため、応札時には、他市場収益を全電源種一律0円と設定。また、電源を落札した事業者は、実際の他市場収益のうち約9割を、同オークションを実施する電力広域的運営推進機関に還付することをガイドライン(GL)に定めている。
同GLでは、落札事業者が、他市場収入を不当に安くすることや、可変費を不当に高くするなどにより、意図的に還付額を低く設定することを回避するため、電取委が実需給年度の翌年度に、他市場収益を監視することを期待。これを受けて同委は、他市場収益の監視対象費目など、監視の詳細を明確にすると共に、監視スケジュール、無差別規律の場合の監視方法といった、監視業務の在り方を整理するため、同検討会を設置し、公開で議論する方針を示した。
同検討会には、オブザーバーとして経産省エネ庁電力・ガス事業部電力基盤整備課の中富大輔・電力供給室長、関西電力執行役員の齊藤公治・エネルギー・環境企画室長などが参加する。電取委は来月、第1回会合を開催し、〇相対契約に対する規律の監視、〇他市場収益の実績額の監視―について検討を進め、7月頃に検討結果を取りまとめる。
このうち相対契約の規律についてGLは、同契約に基づく供給開始前の契約締結時に、電取委の監視を受ける必要性を指摘。相対契約自体が、無差別規律(社内外・グループ内外、社外・グループ外同士の取引条件を合理的に判断し、無差別に電力販売を行い、決定された価格になっている)、市場価格規律(市場価格水準以上であることを基本として設定した価格になっている)のいずれかの規律を満たしているか―について、電取委による監視を求めている。
