東北電NW 開閉所新設工事35・9億円効率化
東北電力ネットワーク(NW)は、22年10月から宮城県南部の丸森地区で実施する、500㎸開閉所の新設工事で、計35・9憶円の効率化を達成した。東北東京間連系線の広域系統整備に伴う同工事は、11年に運開した変電所増設工事以来の事業で、最新の知見などにより、当初の工事計画をブラッシュアップして取り組んだ。具体的には、ガス絶縁開閉装置(GIS)の設計見直しや、開閉所全体のコンパクト化を図ることで、工事効率が大幅に向上した。
500㎸送電線10回線を引き込む、開閉所の建設を進める同工事では当初、敷地面積4.2万㎡にGIS・引込鉄構といった屋外機器、配電盤が設置された建屋、碍子洗浄装置(貯水タンクを含む)などを配置することを計画。本工事では、JEC(電気学会電気規格調査会)最新規格を適用したGISタンク径の縮小、遮断器投入方式の変更などにより、GISの機器をコンパクト化することで、製品の材料費に加え、輸送費や現地据付工程の短縮などにより、計9.8憶円のコスト低減につなげた。また、従来のGISで採用していた、磁器製のブッシングを、ポリマー性に見直した。耐久性に優れる同素材の採用に伴い、約75%軽量化すると共に、基礎などのコンパクト化を実現した。さらに、ブッシングの耐汚損性能も向上させたことで、碍子洗浄装置の設置が不要となり、計8.0億円の効率化となった。
開閉所の建設において東北電NWは、これまでも設計段階から機器配置などを検討し、敷地のコンパクト化を志向しており、同工事では、機器レイアウトや工事時の重機配置の最適化などを通じて、さらなるコンパクト化を実施。これにより、開閉所の敷地を当初計画から36%引き下げて、約2.6万㎡とコンパクト化し、約16・3億円の効果を得た。同社は今後も電気所の新設・更新工事において、これらの施策導入によるコスト低減を目指した検討を進める考え。
