一送電 電力データ30分提供へ今春機能強化
一般送配電事業者は「電力データ集約システム」による、電力データのリアルタイム提供について、4月からの導入を目指して開発を推進する。電気事業法第34条に基づき、災害時におけるデータ活用の利便性を向上させるため、一送電10社は23年8月、送配電システムズ合同会社を設立し、10社間の共通システムとして、同集約システムの開発を実施。スマートメータ(SM)から得られる前日までの電気使用量などの電力データを、関係行政機関の求めに応じて、個別データや統計データとして提供する仕組みを構築し、昨年末までに、全事業者がデータ提供を開始した。
その後も、同システム機能の強化に向けた開発を進めており、今年4月の導入を目指したステップ2では、これまでの提供データに加えて、30分ごとの電気使用量をリアルタイムで適用する機能開発に取り組んでいるところ。災害でデータセンターが損壊した場合にも、別置きのバックアップ環境により、データ提供が継続される機能も加えて、安全性の向上を図る。さらに、送配電システムズを通じて今後、ユーザーである国や自治体のニーズを踏まえて、システム開発のステップ3を開始。発災前後の自治体による、要支援者の避難援助支援機能を追加すると共に、統計データ作成機能の改良によるデータ精度の向上に取り組む。
具体的には、氏名住所から供給地点番号を検索できる機能や、要支援者の契約照合取得結果に電圧・電気方式などを表示する機能を追加。災害時の要支援者の特定、平時の要支援者リストの更新―といった、作業の効率化につなげる。統計データの精度向上により、一送電を跨いだデータや、欠測補完された確報値からのデータが作成可能となる。
一方で、昨年2月に千葉市で実証を行った、電力データの活用による防災訓練を踏まえて、来年度中の完了を目指した、ステップ4の開発を新たに進める方針を昨年末に提示。同訓練では、自治体の保有する情報と組み合わせることで、従来と比べて詳細にエリアのリスクを把握でき、電力データが防災業務において、有効に活用できることを確認した。同実証で得られたユーザーニーズを踏まえて、第4ステップでは、〇操作方法の確認といった、外部ユーザー用の試験環境の整備、〇特定契約者登録処理の起動回数の拡張など、自動照合・検索機能の適正化、〇契約廃止したデータ提供の停止解消―などのシステム改修を進める。
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