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山梨県、東電HD P2G普及拡大に追い風

 東京電力ホールディングス(HD)が、山梨県、東レと共同で、甲府市の米倉山電力貯蔵技術研究サイトで、NEDOの委託を受けて16年から実証実験を進めてきた「P2G(パワー・トゥー・ガス)システム」の普及拡大に朗報だ。

 東電HDなどが、同実証で使用した水電解スタック(水を電気分解して水素を発生させる装置の中核機器)を提供したカナデビア(旧日立造船)がこのほど、同実証の成果を基に、県内都留市に水電解スタックの工場を新設することを決めた。県の「水素先進県」構想に協力するもので、市が整備する厚原工業団地内に設ける予定だ。建設費を含めた総事業費は80億円を見込んでおり、このうちの3割に、採択を受けた経産省の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)サプライチェーン構築支援事業」の補助金(24億円)を充てる。新工場の完成は、29年3月を予定している。
 東電HDと官民実証を進める中で、県は「P2Gシステムの普及には、水分解スタックの量産化が必須」(企業局新エネルギーシステム推進課)としており、この点を踏まえてカナデビアは、新工場での水電解スタックの生産能力を「年100万㎾」に設定。これは製造する水素に換算すると「15・7万tになる」(同)という。そのため県も「新工場の操業で水分解スタックの価格の低廉化が進み、P2Gシステムの普及が拡大する」と期待しており、長崎幸太郎知事も「当県で製造された水電解スタックが、世界の脱炭素化に貢献していくのは素晴らしい」と歓迎している。