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九州電 可搬式独自充電設備の商品化に成功

 九州電力が、日立建機と共同で開発を進めてきた「建設現場用可搬式充電設備」の商品化が整い、このほど先行販売がスタートした。産業用機械向けリチウムイオン電池パックを使用した同充電設備は、九州電が「建設現場におけるゼロ・エミッション化の促進」を目的に、日立建機と昨年10月に交わした「建設現場での電力供給ソリューションで協業する覚書」に基づくもので、九州電が有するリチウムイオン電池に関する監視・制御技術や急速充電技術、さらには使用済みリユース電池の有効活用などに関する豊富な知見を活かして、近年、土木・建設業界の課題となっている「建設現場のゼロ・エミッション化」に寄与することを目指した独自製品。  

 同充電設備は、電動化建機だけでなく、建設現場で用いられている様々な資材や設備(照明機材、電動機器、事務所など)に対応可能なため、日立建機が今年5月に千葉県市川市に開設した公開型研究拠点「ZERO EMISSION EV-LAB」に実機を配備して、来場者に商品デモを行って評判となっていた。
 九州電は、同拠点を活用するビジネスパートナーとして、伊藤忠商事やいすゞ自動車などと共に商品化に協力し、同充電設備を用いた新たなビジネスモデルの構築を進めてきた。同品は、メインユニット、サブユニット、急速充電ユニットの3種類を自由に組み合わせて施工現場に導入できるため、フレキシブルな需要に対応できるのが特長で、災害時には非常用電源としての利用も可能。販売とサービスは日立建機が行い、九州電グループが有する広範な販売チャネルを活かして、地方自治体や医療機関などへの販売も視野に入れている。

 なお、九州電は、地球温暖化への対応とエネルギー利用効率化の観点から、990年代からリチウムイオン電池を用いた充電技術に関する研究を進めており、東日本大震災を教訓とした、医療機関との「蓄電池を用いた災害救援機材」の開発、さらに一昨年からは、産業用機械向けのリチウムイオン蓄電池パックや、リユース電池を活用した移動式ポータブル電源装置の製造・販売なども行っている。