エネ庁 洋上風力公募での計画変更要件を整理
経産省エネ庁は、洋上風力の公募制度における事業計画の変更要件を整理した。世界的なサプライチェーンの逼迫やインフレ、為替変動の影響により、風車の主要製品などの価格が上昇。特に、ブレードやナセルなど主要製品の価格上昇は、プロジェクトの事業性に影響を与えている。競争環境を維持しながら、コスト低減を図ることが重要となる中で、公募占用計画におけるブレードやナセルなどの計画変更は、関連するサプライチェーンにも影響を及ぼすことから、事業者には慎重な判断が求められている。洋上風力事業に対して、電源投資を確実に完遂することを目的に実施する、公募制度の在り方について検討を進める同庁は、産業競争力強化などの観点から、事業者選定後における事業計画の柔軟性確保に向けた制度設計を目指している。
公募占用計画の変更について、再生可能エネルギーの海域利用法は「公共の利益の一層の増進に寄与することが見込まれる」または「やむを得ない事情がある」ことを求めている。このうち、公共の利益増進については、電力安定供給の評価点が高くなるような計画変更を対象とする考えを提示。インフレの影響で、同計画に記載されたリスクシナリオを遥かに上回る状況が生じるなど、事業継続が困難であると共に、相手側との価格交渉の結果、相手側から契約解除の申し出があった場合など、事業継続のために変更せざるを得ない状況を、やむを得ない事情―と整理した。
また、風車メーカーなどの変更は、環境アセスメントやウィンドファーム認証などに影響し、運開時期が1~2年程度遅れることが想定され、迅速性の評価点が下がることが見込まれる。そのため、計画の変更申請を行う事業者に対しては、下がった評価点を上げるため、例えばサプライチェーンの強靭化といった、追加的な取り組みを求める。これらの要件を踏まえた個々の変更申請については、第三者委員会の検討結果を基に、同庁が判断する考えを示した。
なお、迅速性の評価点が下がる日までに運開しなかった場合には、保証金を全額没収することを定めており、激甚災害・武力行使による直接の被害、当事者のコントロールまたは回避が可能ではない事象―を免責要件としている。当事者のコントロール・回避などができない事象については、選定事業者の自己の過失によらないものであること―を要件の一つとしており、同庁は同要件についても考え方を整理。自己の過失による事象として、〇施工不良に伴う遅延、〇地質調査不足に伴う遅延、〇サプライヤー由来の遅延―などを提示。自己の過失によらない事象は、〇地震に伴う遅延、〇極端な気象条件に伴う遅延、〇パンデミックに伴う遅延、〇行政の責による許認可遅延―などとした。