JCCS COP29で液化CO2船舶輸送実証展示
日本CCS調査(JCCS)は、来月にも本格開始を予定するCO2輸送船舶の実証事業について、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に設置される「ジャパン・パビリオン」での展示を通じて広く発信する。環境省が設ける、同パビリオンの展示技術として、このほど採択された。今年11月11~22日にアゼルバイジャン共和国バクーで開催されるCOP29では、日本の優れた技術や取り組みを情報発信するための広報用スペースとして、環境省が同パビリオンを設置。COP29のテーマに合わせて、同パビリオンで展示する技術を募集していたもので、JCCSなどによる12件の国内技術・製品を展示することを決めた。
このうちJCCSは「ネット・ゼロへのCCSソリューション―CO2船舶輸送及び地中貯留の技術開発・実証」の展示が採択された。同社は21年から、日本製鉄、伊藤忠商事、エンジニアリング協会と共同で、NEDOの委託を受け、年間100万t規模のCO2を、排出地から貯留・活用地へ長距離・大量輸送する技術と、低コスト化に向けたCO2船舶輸送に関する、研究開発・実証試験に取り組んでいる。同事業には、関西電力が、舞鶴火力(石炭、計180万㎾)の構内における基地建設に協力しており、関西電は今年4月に同事業への参画を決めた。同基地は、今月の完成予定で、来月にも舞鶴火力で排出された、年間1万t規模のCO2を液化し、北海道電力・苫小牧火力(重原油・天然ガス、25万㎾)構内に設置する基地へ船舶で輸送する実証を開始する。
同実証では、一貫輸送システムの運用と、操業に必要な技術を検証する。舞鶴と苫小牧両基地の間を繰り返し輸送する予定で、一貫輸送システムの運用および操業に必要な技術を検証する。CO2を分離回収し利用する、CCUSを目的とした液化CO2の船舶輸送の実証試験は、世界で初めてとなる見通し。なお、COP29のジャパン・パビリオンでは、JCCSのほか、三菱重工業の「グリーントランスフォーメーションに貢献する脱炭素技術」、日立製作所の「不確実な気候変動に適応するリアルタイム洪水シミュレーターとデータセンター分散制御」、大成建設の「ゼロカーボンビル『T―ZCB』の建設及び脱炭素に資する新技術の開発と海外展開」などの技術・製品・サービスが、実地展示とバーチャル展示(オンライン配信)で紹介される。