国交省 浮体式洋上風力拡大へ環境整備強化
国交省は、浮体式洋上風力の導入拡大に向けた環境整備について、強化する方針を来年度概算要求で示した。40年までに3000万~4500万㎾の案件形成を目指す、洋上風力の導入目標を達成するため、浮体式洋上風力に関する技術開発・実証や環境整備が進められている。一方で、ウィンドファームの大規模化に伴う、維持管理コストの増加、設置・維持管理に必要な関係船舶の不足への対応などが必要となっている。これらの課題解決に向けた取り組みに対して同省は、このほど明らかにした来年度概算要求において、今年度予算2800万円を上回る4000万円を計上。国内技術を用いた浮体式風力の拡大、国際標準化を図り、洋上風力産業の海外市場獲得を促す考えを示した。
具体的には、ウィンドファームの大規模化などを念頭においた合理的な検査手法や、今後の浮体式風力に関する技術開発・実証の動向を踏まえた、将来導入が期待される新技術・新コンセプトへの対応を検討。実海域実証の早期実現に向けた方策検討につなげると共に、技術基準・安全ガイドラインの見直しや拡充を行う。現状では、全基を目視で点検することが前提となっており、浮体が50~100基程度の大規模ウィンドファームでは、コスト増が大きな課題。将来的には、浮体の運動(軌跡)をモニタリングし、係留システムの健全性を把握するなどの手法を想定する。
また、浮体式洋上風力の設置・運用には、運搬・海上施工・作業員輸送といった作業目的に適し、排他的経済水域(EEZ)の水深、海象などの海域特性に応じた性能の船舶が必要となる。同省は、浮体式風力の設置や維持管理に必要な船舶を整備するためには、案件形成の時期、風車サイズ、施工方法などに応じた、船種ごとの需要の見通しを立てることが必要―と判断。来年度予算を充てて、設置・運用に必要な関係船舶の需要試算に取り組む考えを示した。
同試算は、〇30年に1000万㎾、40年に3000万~4500万㎾の案件形成、〇浮体式の案件形成は、グリーンイノベーション基金終了(31年)以後から、〇促進区域の指定から5年で海上施工開始、7年で運開―などを仮定して実施。風車サイズの大型化は、風車メーカー(ベスタス)の見通しを採用し、本格的な海上施工が開始される26年から、40年に形成した案件が運開する47年までを計算対象とする。海上施工、維持管理に必要な船舶の隻数を、重量物貨物船、作業員の輸送船などの種類別に推計する。