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JOGMEC 人工涵養の実証で成果を確認

 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、東北自然エネルギーの柳津西山地熱(995年の運開時6.5万㎾、現在3万㎾)を実証フィールドに、産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)、同地熱で蒸気事業を行う奥会津地熱(同柳津町)の官民グループに委託して、13年から進めてきた実証プロジェクト「柳津西山地点涵養試験」の成果を明らかにした。同実証は、地熱の課題となっている「経年に伴う蒸気量の減衰」を回復させるため、海外で成功事例のある人工涵養のスキーム(地下貯留槽での水不足を、地中から水を補給して補う)を用いて、蒸気生産井の回復につなげる「日本初となる人工涵養事業の試行」(JOGMEC)となる取り組み。
 同実証では、柳津西山地熱の近くを流れる河川から涵養井に注水した水を、地下で高圧熱水として生産井から蒸気で還元させる人工涵養のスキームを実施。具体的には、試験注入を経て、20年7月~24年3月に、1本の涵養井に最大毎時50~60t、平均同20~30tを注水した結果「減衰傾向の抑制と緩和が確認できた。特に涵養井に近い2本の生産井では減衰がほぼストップした」(同)という。さらに、同地熱の生産井計21本のうち「他の生産井でも減衰が回復する傾向を示している」といい、JOGMECは今回の成果を早急に体系化した上で、ガイドラインとなる「技術マニュアル」を作成。同マニュアルの利用を全国の各地熱に働きかけることで、国産再生可能エネルギーのさらなる拡大と、50年カーボンニュートラル達成への寄与を目指す。