JERA アンモニア実装計画で主導的役割
JERAが参画する「中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議」は1日、同社が所有する愛知県碧南市のJERA museum HEKINAN ホールで第5回会議を開催し、30年を目標達成年にオール愛知で進める水素とアンモニアのサプライチェーン構築計画を策定した。既報のように同会議は「ものづくり産業が集積する中部圏が、脱炭素社会を構築しながら今後も日本の成長をけん引するため、水素・アンモニアの需要と供給を一体的に創出できる体制を構築する」(大村秀章・愛知県知事)ため、県を事務局に中部経産局や国交省中部地方整備局、環境省中部地方環境事務所、愛知、岐阜、三重3県と県内各市のほか、民間から、中部経済連合会(会長=水野明久・中部電力相談役)と、JERA(担当は谷川勝哉・執行役員西日本支社長)を迎えて、22年に創設した計画推進組織。同日行われた会議では、JERAが世界初の試みとして、碧南火力4号機(石炭、100万㎾)で21年から実施している、NEDO採択の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/アンモニア混焼火力発電技術研究開発・実証事業」の成果なども報告され、同報告に基づいて、30年までの水素とアンモニアの年間需要量と、具体的な拠点整備・配置構想などを成文化した。
それによると、同年における年間需要量は、水素が20・5万t、アンモニアが100万tと想定。その上で、サプライチェーン構築計画のうち「アンモニア貯蔵・脱水素・供給拠点」を知多地域、四日市地域、三河港地域に設けると共に、碧南地域には「アンモニア貯蔵・供給拠点」、知多地域には「廃プラスチック由来の水素製造・供給拠点」、さらに、内陸部の豊田周辺と安城・西尾地域に「水素貯蔵・供給ハブ」をそれぞれ設けることで「水素やアンモニアを利用する事業者に対し、需要量や距離に応じて陸送や運搬船、パイプラインなどで効率的に輸送可能なスキームを構築する」(大村知事)ことを決めた。さらに今後は、国の支援制度などを活用して早期に施設整備を進める方針。
なおJERAは、NEDO、IHⅠと協力して実施中の前記実証において、今年4月10日、燃料アンモニアの20%転換を達成すると共に、燃料アンモニア転換前(石炭専焼)と比較して、窒素酸化物(NOx)が同等以下、硫黄酸化物(SOx)が約20%減少したことを確認。さらに、運用性においても「燃料アンモニア転換前と同等であることを確認した」(同社)ため、できるだけ早期に4号機の構内において、燃料アンモニアの大規模転換(熱量比20%)の商用運転に向けた設備工事を開始する。さらに、今回の実証から得られたボイラや周辺機器への影響についても詳細評価を行って、25年3月までに「社会実装に向けた火力燃料としてのアンモニア転換技術の確立を目指す」(同)考えだ。