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エネ庁 広域予備率による電力需給運用に対応

 経産省エネ庁は、一般送配電事業者が公表する週間のエリア情報について、来年度以降の提供を取りやめる考えを示した。一送電は現在、電力需給の現状と今後の見通しを示す「でんき予報」を各社ホームページ(HP)上で公開。実需給当日と前日段階では、複数エリアをまたぐ広域ブロック情報と、自社エリアの使用率・需要・供給力を表示し、電力広域的運営推進機関の広域予備率ウェブシステムでも公表している。一方で、週間の需給見通しに関しては、各社の供給エリア分のみを表示しており、今年度から広域予備率に基づく需給運用が本格化した中で同庁は、エリア情報に限って表示する必要性は無い―と判断した。
 同措置により、今後は週間の需給情報をでんき予報で取り扱わないことから、同庁は、需要家に混乱が生じることを回避するため、広域機関のHPを通じて、広域予備率ウェブ公表システムの案内・周知を行う。でんき予報における当日・翌日の情報については、広域予備率に基づく情報は今後も継続する。エリア予備率に基づく情報も、当日実施する需給逼迫融通の指標となるため、引き続き表示する。
 他方で、今年度開始した広域予備率に基づく新たな電力需給運用に関して、様々な課題が浮上している。同庁は、電力需給が緩和している5月に「広域予備率低下のおそれに伴う供給力提供準備通知」が、複数回発出されたことを確認。今後の対応として、提供通知発出の背景、影響などの検討を進め、必要に応じて対策を講じる考えを示した。
 新たな電力需給運用では、広域予備率の低下が見込まれる場合に、広域機関から発電事業者へ通知を行い、供給力増大に向けた事業者の自発的な行動を促す仕組みを設けている。同仕組みの下で、5月以降に同機関が公表した翌週の広域予備率が、基準となる8%を大きく下回り、容量確保契約を締結した発電事業者などに、供給力提供準備通知が発出された。通常需給が緩和しているこの時期に、準備通知が発出されたことについて同庁は、稼働可能な電源の量など、電力需給の状況を必ずしも的確に把握できない状況になっている―と指摘。そうした中で、〇準備通知は事業者の自発的な行動を促していない、〇供給力提供通知を受けて、各事業者は時間前市場への応札を行っている一方で、約定量は増加しておらず、予備率の向上に寄与していない、〇提供通知が企図する需給逼迫のおそれ自体が、存在しなかった可能性もある―などの課題が挙がっている。
 同庁はこれらの課題を踏まえて、週間計画以降の広域予備率に対する信頼性を高めるため、広域機関が毎週公表する㎾モニタリングにおいて、通常の広域予備率に加えて、バランス停止機分を加味した、広域予備率を別枠で表示することを、このほど開催した電力・ガス基本政策小委員会で提案。併せて、広域予備率ウェブ公表システムで、週間計画における広域予備率が、低く表示され得る要因については、今後必要に応じて追記する―ことで対応する考え。