北海道電 札幌市と水素拠点構築構想を検討
北海道電力は、札幌市や北海道ガスなどと共同で、水素のサプライチェーン構築を目指した取り組みを開始する。政府が実現を目指す水素基本戦略(国内製造と海外調達を合わせた水素導入量を、現在の200万tから40年に1200万tに拡大)に呼応し、官民で事業推進会社を創設して、経産省エネ庁が今夏より公募を開始する「水素事業の価格差支援(値差支援)制度」のスキームを活用しながら、水素の製造・貯蔵・販売の拠点形成を目指す。今年5月に成立した水素社会推進法に基づく同制度は、事業コストを回収できる水準の水素基準価格と化石燃料などの参照価格を比べて、差額の全てを補助する―というもの。支援は15年間で、補助を受けた事業者には支援後、10年間の供給継続が義務付けられる。初の取り組みとなることから、エネ庁は「まずは年内を目処に1件の採択を目指す」考えで、来年度以降も継続的に公募を行って、今後15年間で3兆円規模の価格差支援を行う方針を明らかにしている。
これを踏まえて計画を主導する市は、9月開会の第3回定例市議会での同意を得て、翌10月中にも、北海道電や北ガスを迎えた新会社を設立する意向だ。民間からはそのほか、北海道電がエネ庁採択の「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金・水素等供給基盤整備事業(千歳市内でのグリーン水素供給ならびに道内他拠点との連携を見据えたインフラ整備に関する調査事業)」で協力するエアウォーターのほか、北海道銀行や北洋銀行などを迎える予定。 新会社創設後は、再生可能エネルギーによる水素製造や輸送・貯蔵、利用の実現に向けた調査・検討に着手すると共に、供給網構築の事業性や商用性、課題などを検証する。加えて市が今月4日、政府(国家戦略特別区域諮問会議)から、北海道と共に「GX(グリーントランスフォーメーション)金融・資産運用特区」の認定を受けたのを踏まえ、銀行によるGX関連事業への出資に対する「規制緩和策の活用の可否」などについても多角的に検討していく考えだ。