主な記事 詳細

過去の主な記事

中部電PG 基幹系統の電圧上昇で課題提示

 中部電力パワーグリッド(PG)は、基幹系統における電圧上昇対策として「自動力率調整装置」の設置や「力率割引制度」の見直しなどについて、検討する必要性を指摘した。このほど電力・ガス取引監視等委員会が開催した「局地的電力需要増加と送配電ネットワークに関する研究会」で、軽負荷期を中心に基幹系の電圧が上昇傾向にあることを提示。その要因や、同社が実施している対策を説明した上で、今後の課題として、無効電力供給の抑制を挙げた。
 配電系統で電圧が上昇した場合には、配電用変圧器やSVR(配電線の途中に設置し、変圧比の切り替えにより電圧を調整する装置)のタップを下げることで、適正電圧を維持している。その一方で、電圧上昇の根本的な原因である無効電力は、特高系統へ流出し、最終的には基幹系統に集まるため、軽負荷期を中心に、基幹系統における無効電力が余剰となり、結果として基幹系統の電圧が上昇する事態が発生。その要因について中部電PGは、従来に比べて大規模火力の並列台数が減少したことで、電圧調整可能な発電機が減少すると共に、基幹系潮流の減少で、無効電力損失が減少していることを指摘。基幹系統への需要地系からの無効電力量も、増加傾向にあることを明らかにした。
 需要地系統からの無効電力は、特高や高圧需要家が、重負荷期に適正な電圧を維持するために設置した「力率改善用コンデンサ」が供給源の一つとなっており、同コンデンサを需要家の電力使用状況に合わせて投入・開放するため、自動力率調整装置の設置を求めることを今後の課題に挙げた。電圧上昇対策として同社は、直列リアクトル(無効電力の吸収源)の設置による設備対策を実施しているが、1台あたり数億円の費用が掛かるほか、設備対策に時間を要するため、送電線停止などの運用対策により、電圧制御を実施している。同社エリア内では近年、軽負荷期には管理値のJEC最高電圧値525KVを超過する状況にある。