環境省 中国電スイコムなどクレジット化検討
環境省は、11年に中国電力が鹿島建設、デンカ(当時、電気化学工業)と共同開発した「CO2SUICOM(スイコム)」などの環境配慮型コンクリートについて、Jクレジット化の検討を予定していることを明らかにした。このほど取りまとめた22年度の温室効果ガス(GHG)排出・吸収量の算定において、CO2を吸収・固定する同コンクリートによる吸収量(CO2固定量)を世界で初めて算定し、計約17tの値を国連へのGHGインベントリ報告に反映した。
同算定では、①排気ガスを用いて養生することで、同ガス中に含まれるCO2をコンクリートに固定する、製造時CO2固定型コンクリートのスイコム、②木質バイオマスを炭化した、バイオ炭使用型コンクリートの「SUSMICS―C(清水建設)」と、CO2由来材料使用型コンクリートとして、③セメントの代わりに高炉スラグと特殊な反応剤を使用し、CO2を吸収・固定化させたカーボンリサイクル製品を混ぜ合わせて製造する「T―eConcrete(大成建設)」、④セメント混合割合を40%以下とし、その大部分を高炉スラグ微粉末などで置き換えた「クリーンクリート」に、CO2を吸収・固定化させた炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混ぜ合わせて製造する「クリーンクリートN(大林組)」―について、日本建設業連合会などの協力により、科学的な知見やデータが整ったことから、CO2固定量を計上した。
経産、農水省と共同で、Jクレジット制度を運営する同省は、これら3類型4種類の環境配慮型コンクリートを今回初めて、GHGインベントリに計上したのを踏まえて、同制度運営委員会を通じて、Jクレジット化に向けた方法論などの検討に取り組む。同コンクリートは、様々な分野での活用が進んでおり、Jクレジット化することで、コスト削減を促し、さらなる普及拡大、CO2削減につなげる考え。