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JICA 電力とウズベキスタンで省エネ支援

 JICAは、日本の電力の協力を得て、来年度より、中央アジアのウズベキスタン共和国で、エネルギー効率の向上を目指した「省エネルギー能力強化プロジェクト」を開始する。中央アジア最大の人口を有する同国は、天然ガスや金の好調な輸出と継続的な公共投資によって近年、順調な経済成長を遂げているが、既設発電設備の老朽化により「十分な電力供給量を安定的に確保できていない」(ウルグアイ国立再生可能エネルギー資源研究所)状況が続いている。こうした背景から同国政府は、20年に発令した大統領令で「30年までに国内におけるエネルギー効率の改善率を1.5倍にする」方針を決定。さらに22年に策定した「開発戦略」でも、26年までにエネルギー効率を20%向上させる―との数値目標を設定して現在、両目標の実現を目指している。
 国際エネルギー機関(IEA)が、20年に同国で行った現地調査の結果、ウズベキスタンにおけるエネルギー消費は、特に住宅部門において「エネルギー源別の消費量の75%を天然ガスに依存しており、現状の天然ガスによる電力・熱供給には大きな効率化のポテンシャルがある」ことが判明しており、このIEAの分析を踏まえてウズベキスタン政府は、日本政府に「民生部門における省エネ政策推進のための当国関係者の能力向上への支援」を要請。同要請に基づき、新たなJICA事業「ウズベキスタン国エネルギー管理士制度の構築とゼロエネルギービル実証試験を通じた省エネ能力強化プロジェクト」に着手するもの。
 同事業は、前記要請に応えて、具体的な取り組みとして、①国立再エネ資源研究所内への、省エネ政策の立案・履行の司令塔となる「省エネGXセンター」の設置、 ②「エネルギー管理士制度(仮称)」の創設、③ZEB普及に向けた実証パイロットプロジェクトの実施、④現行省エネ基準の強化、⑤エコキュートなどエネルギー効率機器の普及拡大―を行うもので、エネルギー全般の豊富な知見と技術を有する日本の電力とグループ企業による共同実施を視野に、来月中にプロジェクト委託先を決定する。履行期間は、5月16日~27年7月7日までの3年超にわたる長期プログラムとなる。なお、ウズベキスタンでは、中国電力と子会社のパワー・エンジニアリング・アンド・トレーニングサービスが15~19年に「コンバインドサイクル発電運用保守トレーニングセンター整備プロジェクト」、東北電力が16年に「タシケント熱電併給所(10・8万㎾)事業準備調査」、東電設計が20年に「ナボイ火力近代化事業(フェーズ3)協力準備調査」などを、JICAの委託を受けて行っている。