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エネ庁 原子力自主的安全性向上で今後の論点

 経産省エネ庁は、原子力の自主的な安全性向上に向けた今後の論点案を、原子力小委員会に提示した。福島第一原子力事故の教訓である「安全神話からの脱却」を基に、「規制充足に留まらない自主的・継続的な安全性向上の取り組みを促す」(同庁)ため、13年に「原子力の自主的安全性向上に関するWG」を同小委の下に設置。14年には同WGを通じて「原子力の自主的・継続的な安全性向上に向けた提言」を取りまとめた。その後も電気事業連合会、原子力エネルギー協議会(ATENA)、原子力安全推進協会(JANSI)などを含めて、継続的に議論を行っている。議論を始めてから10年が過ぎ、再稼働が進む中で、改めて自主的安全性向上に向けた業界の取り組みや、今後の見通しなどを確認することを、昨年末の同小委で提起していた。
 昨年12月に開催した同小委では、特にATENAにおける、安全性向上に関するこれまでの取り組みを高く評価すると共に、リスク情報の活用や、オンラインメンテナンスなど原子力の安全性・価値の向上に関する議論を、さらに深めていく重要性を指摘。ATENA、JANSI、電力中央研究所原子力リスク研究センター(NRRC)といった、産業界における各組織の機能強化、役割分担、情報発信に関する指摘なども踏まえて、今後の論点を整理した。
 具体的には、原子力事業者による自主的安全性向上の取り組みを推進するため、〇規制当局との議論も含めて、リスク情報の活用など原子力のさらなる価値向上につながる対策、〇ATENAなど各組織の機能強化、役割分担、〇災害時の情報発信を含めて、取り組みに関する広報・情報発信の在り方―を論点に検討を進める。なお、今年元日に発生した能登半島地震を踏まえて、電事連の池辺和弘・会長は、今月16日に行われた定例記者会見で、原子力の安全性向上に向けた業界の取り組みを説明した。電事連、ATENAを中心に、事業者やメーカーと連携した体制を順次構築し、今回の地震による発電所への影響に関する検証を開始しており、得られた知見については事業者間で共有し、安全対策の検討に活用することで、さらなる安全性向上に努める考えを提示。施設の被害状況の把握や情報発信については、北陸電力との連携による情報発信での知見も踏まえて、今後のきめ細やかな対応に活かす姿勢を示した。