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エネ庁 原子力建設分野の技能者育成を強化

 経産省エネ庁は、原子力人材の育成・確保に向けた課題を整理し、「技能」領域への支援強化の必要性を示した。原子力人材のうち、原子炉の設計・解析を担う研究者など、直接的な現場作業は基本的に行わない「技術者」に対しては、同省による支援のほか、大手メーカーの施設や、原子力業界団体などが開催するセミナー・研修を通じた社会人向けの支援が、複数実施されている。さらに、学生に対しても、文科省、原子力規制庁を中心に、大学や高専などの学生を対象とした、技術者向けの多くの支援が展開されている―と指摘。一方で、溶接工などの現場で直接的な作業を行う「技能者」に対しては、様々な人材育成が実施されているものの、東日本大震災以降の需要剥落により、職人技の継承・人材育成機会の喪失を懸念する声が産業界から挙がるなど「課題感が大きい状況」(同庁)となっている。
 中堅・中小サプライヤのほか、大手メーカー・関連省庁・業界団体など、多方面の関係者からは、建設、運転・保守、廃炉までのライフサイクルのうち、特に建設(ものづくり)を懸念する声が多いことが判明。原子力プラントの建設段階における産業構造は複層化しており、多岐にわたる数百社もの関連企業が、プラント建設に紐付いているのに加えて、震災以降の技能者の減少、国内建設でのみ継承可能な技能が多数存在することなどが課題となっている。
 原子力プラントの建設分野における人材育成として、仏国では、同人材育成・確保に向けた包括的な支援体制が確立され、技能などのものづくり人材を強化する取り組みが進展。原子力産業戦略委員会が人材育成の全体戦略を構築し、原子力産業協会が調査・分析・提言を行い、原子力職業大学が主に技能講習などを学生・社会人に提供する仕組みを構築し、支援領域も広範にカバーされているという。同庁は、そうした仏国などの海外事例も参考に、次世代革新炉の開発・建設で不可欠となる、技能・人材やサプライチェーンの維持・強化に向けて、特に建設(ものづくり)分野での人材育成・確保を喫緊の課題に、関係省庁・業界団体との議論なども行いながら、今後の方策を検討する。