電力各社 事例製品サービスで省エネ大賞受賞
省エネルギーセンターがこのほど決定した今年度省エネルギー大賞で、電力関連各社による取り組みが多数選定された。998年度に創設され、11年度からは省エネセンターの主催事業として、経産省後援のもとで実施する同大賞は、省エネ事例部門と製品・ビジネスモデル部門で構成され、今年度は63件が受賞した。このうち省エネ事例部門では、最高位の経産大臣賞を関電工が高砂熱学工業、三菱地所設計、竹中工務店などと取り組んだ「ZEBとウエルネスを両立したサスティナブル研究施設」が受賞。高砂熱学のイノベーションセンター新設に際して、自然エネルギーや蓄電池の活用、エネルギーマネジメントシステムによる電力需給適正化などに取り組み、大幅な省エネとZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を達成したことが高い評価を得た。資源エネルギー庁長官賞には、トーエネックと日本ガイシ、鹿島建設などによる「工場低温排熱を使った省エネビルへの取り組み」が選定。事務所福利厚生施設の新設に際して、工場の低温排熱を空調熱源や給湯に活用することで、ZEB化を達成した省エネ活動が評価された。
また、同部門の省エネセンター会長賞を、JERAグループの知多エル・エヌ・ジーによる「LNGタンク蓄圧運用の確立による原単位削減の実現」と、電力各社が参画する日本エレクトロヒートセンターの「クリーンルームの先進的な省エネルギー取り組み」が受賞した。従来の運用方法を、運転データに基づき再精査して見直した、知多エル・エヌ・ジーの取り組みは、新たにLNGタンクの蓄圧運用を確立し、省エネを図った事例として評価された。エレクトロヒートセンターは、三社電機製作所岡山工場の省エネ、省CO2に向けて、13年度から同事業に着手。高効率機器の導入、エネルギー運用の改善などに順次取り組み、22年度実績で約18・6%の省エネを達成したことが評価された。
今年度から産業用機器が対象となり、応募も2割程度増加した製品・ビジネスモデル部門では、東京電力ホールディングスがダイヤゼブラ電機と開発した「ダブル蓄電ハイブリッドシステム」がエネ庁長官賞を受賞した。同システムは、家庭における太陽光発電、V2H(Vehicle to Home)ユニット、蓄電池を組み合わせたダブル蓄電ハイブリッドシステムで、太陽光、電気自動車、蓄電池をAIの最適制御により自動化し、停電時にも家庭内への電力供給を継続することができる。今後のEVや蓄電システムなどの普及により、効果が期待できるシステムーとの評価を受けた。また、同部門の省エネセンター長官賞では、きんでんが、総合設備エンジニアリング企業ならではのサービスとして提供する「AIを活用したエネルギー・マネジメント・サービス」と、九電工などが手掛けた、AIにより空調の省エネ運転計画を算出し、制御を行うことで高い省エネ効果を実現したシステム「熱負荷予測とデジタルツインで最適化する空調熱源制御AI」がそれぞれ受賞した。
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