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エネ庁 クリアランス金属の利用拡大を推進

 経産省エネ庁は、低レベル放射性廃棄物の処分に関する技術開発の一環として、21年度から取り組む「クリアランス金属」の利用技術確証試験について、最終段階となる加工実証を実施する。05年の原子炉等規制法の改正により導入された、クリアランス制度に基づき、放射能レベルが極めて低い、クリアランス物の再利用が可能となった。クリアランス物は、電力業界内や国民への理解活動を目的とした利用に限定しており、制度が社会に定着するまでは、一般市場に流通しないように運用されている。一方で、本格化する廃炉作業に伴い、クリアランス物のうち特に、金属の発生量が増加することが見込まれており、クリアランス金属の再利用を促進することが重要な課題となっている。
 21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画は、廃止措置の円滑化や資源の有効活用の観点から、クリアランス物の再利用先の拡大を推進すると共に、今後のフリーリリースを見据えて、クリアランス制度の社会定着に向けた取り組みを進めることを提示。そうした状況を踏まえて同庁は、クリアランス金属の利用技術開発を推進する。
 同確証試験において同庁は、21年度から22年度にかけて、原子力施設から発生したクリアランス金属を、一次資材のインゴットまで溶融加工した後、二次加工から再利用までのプロセスを実証。再利用モデルの検討を行っており、今年度は同金属の運搬から前処理、溶融加工といった再利用までのプロセスにおいて、安全性や管理手法などの技術的成立性を実証し、安全で合理的な再利用手法を検討する。
 具体的には、原子力事業者や加工・スクラップ事業者などと連携して、クリアランス金属の搬出や輸送、再利用製品への加工を実施。各工程について、工場内での分別管理などの手法を検討する。加工施設では、トレーサビリティを確保しながら、一般の金属と混在しないよう分別管理を実施。電気炉を使用した溶融・精錬・表面処理などのプロセスを経て、建材加工を想定した資材などへの加工を行う。
 これらの各工程では、放射線測定などを通じて、クリアランス金属による影響がないことを再確認すると共に、同金属を用いて製造された資材などが、安全に再利用できることを実証する。さらに同庁は、今年度の実証結果を踏まえて、昨年度までに作成した「同金属の取り扱いに関する留意事項」を改訂する。外部の専門家、有識者などで構成する検討委員会を設置して、実証結果や再利用モデルの評価を行うほか、クリアランス物の再利用の在り方や、再利用先のさらなる拡大に向けた運用、クリアランス制度を社会定着させるための具体的な取り組みなどを検討する。