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環境省 自然共生サイト促進へ支援証明書検討

 環境省は、既報の通り東京電力ホールディングス、九州電力などが認定を受けた、自然共生サイトの促進に向けて、インセンティブ方策の検討を本格的に開始する。同認定制度は、民間事業者や地方公共団体などの様々な取り組みにより、生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度として、同省が今年度新設。30年までに陸と海の30%以上を、健全な生態系として効果的に保全する「30 by 30(サーティ・バイ・サーティ)」の目標達成に向けた取り組みの一環で、同省はこのほど、初めての環境大臣認定となる全国122か所を決定した。東電HDは、群馬県片品村の「尾瀬(尾瀬ヶ原・尾瀬沼・尾瀬戸倉山林、東京電リニューアブルパワー所有)」、九州電は、大分県平治岳周辺に位置する社有林(約401ha)で認定取得している。
 同省は、自然共生サイトの認定促進や、認定後の管理継続、質の向上には、保全活動を実施する主体への経済的・人的支援などが重要―と判断。そうした支援を必要とする自然共生サイトや同認定を目指すサイトと、それらの活動支援を希望する支援候補者とのマッチングを行うことを決めた。同マッチングにあたっては、より効果的な支援や、支援者に発行する支援証明書についても検討を進める。経済活動における、自然環境・生物多様性に関するリスクと機会について、評価し報告することを促す国際組織「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」などへの活用や、投資家から見た評価に関して具体的に検討する。
 電力中央研究所サステナブルシステム研究本部気象・流体科学研究部門の富田基史・主任研究員が委員として参加する「支援証書モデル的試行WG」を設置して、参加者と協議した上で支援証明書(案)を作成。同証明書を仮想的に発行する、試行を実施する考え。同省はこのほど、マッチングに参加する、自然共生サイトと支援者の募集を開始。来月24日まで応募を受け付けた後、マッチングを実施し、今年中にも結果を通知する。マッチング参加者からの意見などを踏まえて、支援証明書案を作成し、来年3月を目途にマッチング結果と同証明書イメージ(事例)を公表する。