エネ庁 高速炉開発で司令塔組織の検討加速
経産省エネ庁は、高速炉開発における司令塔組織の具体化に向けた検討を進める。今年度から開始する委託事業「高速炉実証炉開発事業」の公募において、三菱FBRシステムズが提案した「ナトリウム冷却タンク型高速炉」を、高速炉実証炉の概念設計対象に選定し、中核企業を三菱重工業に決定したのに伴い、これまでの議論を踏まえて司令塔の機能、規模、組織形態などの検討を加速。日本原子力研究開発機構の研究開発力と、電気事業者のプロジェクト力を結集するため、各組織の人的協力を得て運営する考え。
同庁は、過去の研究開発における「護送船団方式」から脱却すると同時に、導入後も見越したプロジェクトベースの開発を進めるには、開発プロジェクトのマネジメント強化が必須―と判断。ステークホルダーと能動的に調整を行いながら、システム全体を一貫性をもって管理する、研究開発プロジェクトの「へそ」となる司令塔を創設する。司令塔機能には、ユーザー・オペレーターとしての知見を有する、電力など民間企業のプロジェクトマネジメント人材・知見を取り込み、技術的・社会的側面から強化を図る。
革新炉開発体制の検討において同庁は、これまでに司令塔機能の要件を整理しており、①強力なリーダーシップにより開発、設計から建設、安定的な運転に至るまでの一連の工程を指揮・命令できるマネジメント体制、②予算制度上の制約に過度に縛られることなく、必要に応じて戦略的な予算配分を行うなど「単年度主義」に陥らない長期間の予算配分と工程管理を行う能力、③プロジェクトリーダーの下、立地地域との適切なコミュニケーションを維持・強化し、理解を得ながら開発を進めていく態勢―を想定する。