経産省 追加財源活用しGI基金事業を拡充
経産省は、グリーンイノベーション(GI)基金で実施するプロジェクトに、大量生産に適した浮体式洋上風力の設計手法開発など、6つの取り組みを追加する方針を固めた。同基金造成時に投じた2兆円については、既に19件のプロジェクトに対して、10年間で最大約1兆8300億円を拠出することを決定。このうち、既報の通り「大規模水素サプライチェーンの構築」など2件のプロジェクトでは、取り組み内容の追加に向けて検討しているところ。さらに、これまで取り組んできた事業の進捗を勘案し、昨年度第2次補正予算3000億円、今年度予算4564億円、計7564億円を上積みしており、同財源も用いて、実施中のプロジェクトにおける取り組みの追加・拡充を図るもの。
同省は、このほど開催した産業構造審議会GIプロジェクト部会において、追加的な研究開発・実証などの取り組みが必要な領域として、①浮体式洋上風力、②次世代型(ペロブスカイト)太陽電池、③水素サプライチェーン構築、④水素還元製鉄、⑤CO2などを用いたプラスチック原料製造技術、⑥CO2などを用いた燃料製造技術―の6つを提示。①については「浮体式洋上風力における風車・浮体などのインテグレーションに係る共通基盤開発」として「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトの取り組みに追加する考えを示した。同取り組みでは、世界的に拡大する浮体式洋上風力の市場獲得に向けて、海外競合に先駆けてコスト低減を実現するため、大量生産に適した形で風車・浮体を一体的にデザインする設計手法などを開発・標準化する。
次世代型太陽電池として開発を進めるペロブスカイト太陽電池に関しては、中国などでパイロット生産ラインの整備や量産化への投資が急拡大しているのを踏まえて、実証規模を拡大する。量産技術開発に加えて、ユーザーと連携した施工方法の検証や性能評価を行う、大規模なフィールド実証を早期に実施し、取り組みを加速化する。
大型ガスタービンによる高効率の水素発電実証を取り組みに加えた「大規模水素サプライチェーンの構築」事業には、さらに「大規模水素輸送に係るアンモニアからの脱水素技術の開発・実証」を追加。同構築に不可欠な水素キャリアの早期確立に向けて、製造・輸送技術が確立されているアンモニアに着目し、現時点で途上となっている脱水素技術の大規模化・効率化に向けた開発・実証に取り組む。