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北海道電 保有特許技術でフードロスに貢献

 北海道電力が保有する特許技術を応用した「鮮度保持用LEDライト」搭載の冷蔵庫が、コロナ禍の下、外食よりも自炊を志向するようになった消費者の支持を集めている。既報のように同社は「地域経済発展への貢献と地域課題解決に向けた農業電化などの研究開発」を積極的に進めており、昭和電工などと共同開発した「ジャガイモ緑化防止用照明装置(商標・ポテライト)」は、独自開発したLED照明の照射によってジャガイモの緑化と食中毒原因物質の生成を抑えるため、全国の貯蔵施設などで広く利用されている。そのため、同技術を高く評価した家電メーカーのアクア(旧・三洋電機)が、主力商品である同社の冷蔵庫ブランド・AQUAに、北海道電の技術を活かした鮮度保持用LEDライトを標準装備して21年に発売したところ、コロナ禍の下での家庭への回帰やリモートの普及なども追い風となって、冷蔵庫内の食材を長い間、美味しく新鮮に保てる優れた性能が支持されて人気商品となった。
 同冷蔵庫は、野菜室に北海道電の開発技術を用いた鮮度保持用LEDライトを設け、同ライトから照射される異なる2つの波長の光が、野菜の光合成促進やエチレンガスの発生を抑制。糖分の増加や軟化・腐敗の防止、葉物野菜の鮮度と色の鮮やかさの長期間保持に加え、ジャガイモの発芽も抑制するため「鮮度保持と発芽抑制の同時実現という家電業界初の高機能化」(アクア)を実現した。昨年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、著しい物価の高騰や、世界的な潮流となっているフードロス、SDGsへの対応として、社会に「食材を無駄なく使う姿勢」が広く求められており、こうした点も同冷蔵庫が支持される要因となっているようだ。そのためアクアは、北海道電の同技術をアピールした新機種2機を今月より市場投入するという。
 なお、北海道電のポテライトは、同照明を導入した今金町農協(北海道今金町)が、2年間の運用で「年間40tの緑化ポテトの廃棄抑制による収益向上と、施設内環境の改善に大きな効果があった」ことが高く評価され、農業電化協会の19年度電化推進コンクールで大賞を受賞している。