東北電など 官民共同で復興ツーリズム推進
東北電力は、国交省と復興庁が今年度から新たに開始する東日本大震災の復興プロジェクトにグループ大で協力する。大震災の発生から12年超が経過し、被災地におけるインフラの復旧・整備が進んだことから、これまで福島県が中心となって取り組んできた「復興ツーリズム」を拡大し、自治体や民間企業で組織する新たな計画推進組織を立ち上げ、今夏の旅行シーズンに照準を合わせた様々な企画を立案して誘客の拡大を図ると共に、インバウンドを呼び込むことで、復興の現状を国際社会に発信する国際広報も狙う。取り組みの実施主体となる「東北復興ツーリズム推進ネットワーク(仮称)」には、両省庁と福島、青森、岩手、宮城県、関係市町村のほか、東北電やユアテックが参加する「東北観光推進機構」、東北経済連合会の増子次郎会長(東北電会長)が評議員を務める「3・11伝承ロード推進機構」も参画し、事務局を務めるJR東日本や旅行会社、航空会社などとでネットワークを構築して「官民それぞれの強みを生かした復興ツーリズムを展開する」(東北整備局)。
モデルコースの素案としては、20年3月に全線再開通したJR常磐線の各駅を起点に、福島県富岡町の東京電力廃炉資料館や双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館、浪江町の震災遺構・請戸小学校、楢葉町のJヴィレッジなどを周遊して震災の教訓を学ぶと共に、復興の歩みを実感してもらう。また、ネットワークに参加する旅行会社の協力を得て、各自治体の特性を活かした防災・減災学習プログラムや、東北各地の自然や文化、食の魅力を組み合わせた独自モデルコースなども企画して、誘客の拡大と地域経済の振興につなげる。そのほか「新入社員を含めた企業の社員研修や教育旅行の実施も検討している」(復興庁)という。