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国交省 電力などと臨海部の防災機能を強化

 国交省は今年度より、港湾域に発電所や工場などを置く電力各社やメーカーと協力し、臨海部における防災機能の強化を図る取り組みを開始する。温暖化や気候変動に伴う海面の上昇によって今後、津波や高潮などの水害の巨大化・激甚化が予想されることから、官民の協力によって臨海部におけるセキュリティの強化をハード・ソフトの両面から進めるもの。港湾域における防災・減災対策については、国交相の諮問機関である交通政策審議会が、20年に「今後の港湾におけるハード・ソフト一体となった総合的な防災・減災対策のあり方」を答申しているが、近時3年間で、気象災害リスクの増大に加え、大規模地震・津波災害の切迫化、さらに、政府方針であるカーボンニュートラル(CN)の一環となるCNポート構想の推進など、港湾を取り巻く諸情勢に様々な変化があったことから、前記審議会に再度諮問して、変化に対応した新たな答申を策定した上で、新答申に基づいて官民の協力で、防災対策の強化を図る。
 国交省内で20日に開かれた交通政策審議会港湾分科会防災部会で示された新答申の骨子案は、臨海部に火力や原子力を持つ電力などとの連携を深め、官民一体で防災体制を整える必要がある―とする方針を明記。現在は各社の自助努力に頼っている発電所やプラントなどにおける防災対策を改め「各事業者間で浸水リスクなどを共有して、港湾全体で防災力を高めることが重要」とのの考えを示した。
 取り組みの履行にあたっては、ESG(環境・社会・企業統治)投資を活用するスキームなども利用して、官民の協働で防災に取り組む基盤造りを進める。さらに「民間事業者が取り組む整備費用への支援制度」についても、新たに創設する考えだ。そのほか、岸壁の耐震性能の強化と被災から3日以内の機能回復、復旧活動に必要な資機材類の配備体制の強化、AI活用による台風の災害情報予測―など、ハードとソフトの両面で防災機能を強化する。新答申は、6月に開催予定の次回部会までに策定し、その後、翌7月までパブリックコメントを公募。寄せられた意見を踏まえて「同月中に策定する」(同省港湾局海岸・防災課)考え。