環境省 自然共生サイト認定の受け付け開始
環境省は、民間の取り組みなどを通じて生物多様性の保全が図られている区域を認定する「自然共生サイト」の申請受け付けを開始した。昨年12月にカナダ・モントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(CBD―COP15)において、30年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30 By 30目標」が盛り込まれた。同目標の達成に向けて同省は、自然共生サイト認定制度を今年度から開始し、年度中に100か所以上の認定に向けて取り組みを推進する。
同サイトの認定により、生物多様性の価値を維持すると共に、質の向上の促進を図るもので、同省は「生物多様性の保全にポジティブな効果が波及」することを期待。認定区域のうち、保護地域との重複を除いた区域については「OECM(保護地域以外で生物多様性保全に貢献する区域)」として国際データベースに登録する。同制度の導入に向けて昨年度、同サイトの審査プロセスなどを検証するため、将来的に認定を目指す「生物多様性のための30 By 30アライアンス」参加者に協力を求めて、試行を実施。30 By 30の取り組みを進めるための有志連合として、昨年4月に発足した同アライアンスには、九州電力など計184者の産官民が参加しており、このうち九州電を含む56者の協力を得て、各者が管理するサイト情報を用いて試行を実施した。
同試行の協力者として九州電は、水力発電のための水を安定的に供給することを目的とした「水源涵養林」として整備する、同社所有の大船山山林(大分県竹田市)の情報を提供した。全域が阿蘇くじゅう国立公園内にあり、一部が特別保護地区に指定されている同サイトを、生産林、公益的機能維持林、保全林、その他―の4つにゾーニングし、天然林などの保護すべき林分を保全林に分類して管理。環境にやさしいエネルギーを支え、人と生きものとが共存する豊かな社会に貢献できる健全な森林を形成―することを目指した管理方針を定めて、自然との共生を図っている。