エネ庁 休廃止火力マッチング契約成立至らず
経産省エネ庁は、供給力を確保するための追加的対応として実施した、休廃止電源の事前確認「マッチング」について、現在までに契約成立した案件は無いことを明らかにした。電力自由化の下で電源の休廃止は、経済合理的な事業者判断に基づき進められているが、短期的に十分な供給力の回復が見込めない状況での電源の休廃止は、電力需給逼迫のリスク増加につながる。電源の新増設による供給力の回復を上回る速度で、事業採算性が見込めない電源の休廃止が進んでいるのを踏まえて、同庁は昨年11月に電気事業法施行規則を改正し、10万㎾以上の発電設備の休廃止については、9か月前までに発電事業届出の提出を求めることを定めた。さらに、休廃止電源の経済合理性を事前に確認することの重要性を勘案し、休廃止が見込まれる10万㎾以上の電源を保有する発電事業者に対して、発電情報掲示板に情報を掲示することを基本に、電力購入を希望する小売り電気事業者とのマッチング実施を求めていたもの。
21年度に実施したマッチングでは、契約成立には至らなかったものの、小売り事業者からの問い合わせは一定数存在しており、同庁は、相対契約による供給力確保に対して、小売り事業者のニーズがある―との判断に基づき、昨年11月に対象の発電事業者に取り組みの実施を要請。その結果、同要請以降にマッチングを実施した案件は、東京地域で3件(計22万㎾)、中部地域で1件(85・4万㎾)あったものの、電源の稼働に必要な費用の価格水準が合わなかったことを理由に、契約成立には至らなかったことが判明した。
同マッチングを実施したJERAは、電力広域的運営推進機関の発電情報掲示板を用いずに、電力卸販売の実施において、小売り事業者とのマッチングの手続きを行った。休止予定の火力は、卸販売の電源と比べて稼働に必要な価格が高価になるため、卸販売の募集上限を超える募集があった場合に、契約の交渉を行う旨を卸販売にあたって示していたもので、結果として卸販売で価格水準が折り合わず、不落札の事業者はいたものの、募集上限を超える入札申し込みはなく、休止予定を回避した電源は無かった。