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政府 民間資金によるJCM拡大へ支援強化

 経産、環境、外務3省は、民間資金による二国間クレジット(JCM)の拡大を図るため、同JCMプロジェクトの実施に向けた手引き「民間資金を中心とするJCMプロジェクトの組成ガイダンス」を策定した。21年10月に閣議決定した地球温暖化対策計画は、官民連携で30年までに、累積1億tCO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保―を求めるJCM目標を示した。同目標の達成には、従来の政府資金を活用したプロジェクトに加えて、民間資金を中心とした「民間JCMプロジェクト」の組成促進が必要―との判断に基づき、3省は今年度、同JCMプロジェクト組成における予見可能性を高めるため、新たに導入される予定のプロセスや、特に留意が必要となる事項に関する検討を行い、その結果を同ガイダンスとして取りまとめたもの。
 これまでに組成されたJCMプロジェクトは、脱炭素設備導入や実現可能性調査、プロジェクト登録・クレジット申請に対する日本政府の資金支援により行われ、多くのプロジェクトが実施された。一方で、政府資金支援事業の活用にあたっては、補助金の関係規定や、予算年度による実施スケジュールを踏まえる必要があるなど、一定の制約が存在。民間事業者のJCMクレジット活用に対する関心の高まりを受けて、民間JCMの重要性が指摘されている。
 同ガイダンスでは、事業概要の作成・提出や事業検討にあたっての留意事項、日本からパートナー国への温室効果ガス(GHG)排出削減・吸収以外に対する貢献、クレジット配分など、同プロジェクトの事前照会プロセスを含む手続きについて説明。また、日本政府による民間JCMへの支援として、案件組成に向けたFSなどへの支援や、GHG排出削減・吸収量の算定方法論の開発、MRV(測定・報告・検証)への支援を行っていることを紹介している。政府は、同ガイダンスの活用を期待すると共に、来年度以降、民間JCMに関する相談の受け付けを開始するなど、同JCMの組成・遂行に向けて、支援強化を図る考え。