経産省 なでしこ銘柄選定結果から回復力指摘
経産省は、今年度の「なでしこ銘柄」の実施結果を取りまとめ、同銘柄に選定された企業群とTOPIX(東証株価指数)平均では、選定企業の方が業績パフォーマンスが良く、新型コロナウイルスの影響を受けた後も回復が早い傾向にあることを確認した。今年度の同銘柄選定企業17社の株価指数と、TOPIX平均について、13年2月から今年2月までの10年間を対象に比較。その結果、17年頃から同銘柄の方が同指数が高い傾向で、コロナウイルス拡大の影響を受けた後の、選定企業の回復力が明らかとなった。
また、選定企業群の売上高営業利益率(営業マージン)を、東証一部銘柄の平均値と比較した結果、昨年度通期の同利益率は、同銘柄が市場の平均値を2.6 %ポイント上回り、配当利回りについても、同銘柄は東証一部平均と比べて2.8 %ポイント上回った。同銘柄は、「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化することを狙いに、同省と東京証券取引所が共同で12年度から実施している。
同省は、開始から11年目となる今年度、経営戦略と連動した女性活躍推進企業を重視するなど、同銘柄をリニューアル。これまでの女性活躍推進に関する取り組みを形式的に確認する方法ではなく、自社の経営戦略の中で、女性活躍推進をどう位置付け、その取り組みの成果をどのように企業価値向上につなげているか―といった、企業独自のストーリーに着目して選定する方法に改定した。さらに、各社が提出した定量調査票のデータを、銘柄選定の有無に関わらず集約し「女性活躍推進に積極的な企業」として一覧化して公表すると共に、同銘柄に選定された企業の定性調査票を、審査委員の評価も合わせて事例集としてそのまま公表するなどの情報開示を新たに導入した。昨年10月14日時点で、東証プライム市場・スタンダード市場・グロース市場に上場する全企業約3700社を対象に実施した、今年度の同銘柄募集には、北海道電力、東京電力ホールディングス、中部電力、中国電力を含む312社が応募。このうち定量・定性両調査票の提出企業は255社だった。
定量調査では、女性活躍推進の度合いを確認する指標として、資本市場、労働市場のニーズを反映した項目を設定。女性取締役数など女性の活躍状況や、男性正社員の育児休業取得率といった、両立支援の状況に関する項目を設けた。また、定性調査では、女性活躍推進の取り組みやその成果について、戦略性、取り組み、成果、情報開示―の評価視点を基に審査を行った。その結果、今年度の同銘柄として17社(TOPIX区分17業種に対して各業種1社)を選定した。電気・ガス業種は東京ガス、エネルギー資源は出光興産、鉄鋼・非鉄は古河電気工業がそれぞれ選ばれた。