新年特集「不確実性下で求められる電力経営のレジリエンス」
2020年の新年特集号に「2030年に向けた電力ユーティリティの変化」のタイトルで寄稿した際、「電力会社は、コア事業における収益確保と新たなエコシステムの形成という2つの方向性の追及が求められる中で、いずれにも寄与するデジタルを設備・組織・マインドセットの変革に活用しながら、バリューチェーンのそれぞれの領域において、電力の周辺業界も巻き込んで新たなビジネスを積極的に展開する俊敏な企業へと変化をしていくことが必要である」と指摘した。
この論点は一切変わらず現在に至るが、奇しくも前回寄稿の直後から世界は激動の数年となった。コロナ禍による社会の大幅な変容にはじまり、加速した脱炭素化のうねり、エネルギー不足、急速なインフレ、地政学リスクの高まりにより、電力・エネルギーは世界中で国家的なトピックとなった。今我々が目にしている状況が、単なるビジネスサイクルの延長ではないことは疑いなく、どのようにして経済的に成立し、危機に強く、かつ現実性のあるエネルギー・気候変動対策を形成するか、世界は資源とエネルギーシステムの分野のあるべき姿の再考を余儀なくされている。上流の資源開発投資の滞りがウクライナ紛争の前からの化石燃料価格の高騰を招く一因であった通り、これらの課題解決のソリューションスペースは、電力業界のみからの対応では十分でないと言えるが、以下、海外と国内に分けて電力にも関わる外部環境の顕著な変化を取り上げたい(「本章」は後日掲載)。
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