エネ庁 省エネ評価にDR実施日数報告義務
経産省エネ庁は、来年4月に施行される改正省エネルギー法に基づき、デマンドレスポンス(DR)の実績を評価する枠組みを設ける。同改正法は、非化石エネルギーへの転換を促すための仕組みとして、年間エネルギー使用量1500kl以上の特定事業者に対して、同転換に向けた中長期計画と、非化石エネルギー利用状況などの定期報告の提出を求める措置を新設。また、電気の需要最適化規定を見直し、一次エネルギー換算係数を設定すると共に、需給状況に応じたDR実績報告を追加で求める規定を設けた。
このうちDR実績の評価方法に関しては、「DR実施回数の報告(義務)」と「高度なDRの実績評価の報告(任意)」を想定。同庁は、先月7日に新設した「次世代の分散型電力システムに関する検討会」での議論を踏まえて、経済DR・電源Ⅰダッシュ・需給調整市場など、あらゆるDRを対象に、実施した「日数」をカウントして報告することを義務付ける考えを示した。さらに、「電気の需給状態が厳しい時間帯(広域予備率5%未満)」における上げDRと、「再エネ出力制御時」の下げDRについては、カウント対象外とし、報告内容に疑義がある場合には、証憑の提出などにより合理的な説明を求める。事業者が自らの立ち位置を把握し、さらなるDRの実施につなげる仕組みとして、需要設備が類似する業種ごとに同庁が、DR実施日数の分布と平均値を算定した上で公表することも提案した。
一方で、高度なDRに取り組んでいる事業者を適切に評価すると共に、国としてもDRがどの程度活用されているかを把握し、今後の政策検討に活用するため、例えば「1時間または30分間隔などの電力量データを用いたベースラインを設定するDR」を高度なDRと定義して、同DR実施量(kWh)の報告を任意で求める。同庁は今後、省エネ小委員会などでの議論を経て、これらのDR評価方法を決定し、DR実施回数の報告義務については、来年度分の実施報告から適用を開始。高度なDR実施の報告に関しては、検証に必要な電力量データなどの提供に対して、需要家やアグリゲーターの協力を募った上で分析を進め、来年度中に方針を改めて整理し、24年度からの本格運用を目指す。