中国電 中電病院を移転し県立病院と統合へ
中国電力が運営する中電病院(広島市中区)と、県立広島病院(南区)、JR広島病院(東区)を統合して、オール広島で「高度医療と医療関連分野の人材育成を担う新拠点総合病院」(県医療介護政策課)を、JR広島駅北口前の二葉の里地区(東区)に整備する巨大プロジェクトがスタートする。湯崎英彦知事の肝煎りで計画が進む同取り組みは、課題となっている、〇県内都市部への医師・診療科の集中と偏在、〇高度医療機器や治療装置などの分散、〇集中・偏在に伴う県都市部での医療機能の重複―などに対応するため、中電病院に代表される高度医療機関が集中する広島都市圏の医療資産を、広島駅の至近地に一元化・集約化させることで「県内全域に高い水準の医療を提供すると共に、全国的な問題になっている中山間地域での地域医療を維持する」(同)ための医療インフラの再構築事業。
中国電は、計画の実現に向けて県が今年4月に新設した「高度医療・人材育成拠点ビジョン推進会議」に、委員として外林浩子・執行役員経営企画部門グループ経営推進部長が参加。同会議はこれまで、複数回にわたって他病院と意見を交わした上で、有識者による 「高度医療・人材育成拠点の運営形態のあり方検討会」と協力して、病院統合に向けた基本構想案をまとめた。それによると、新中核病院の建設候補地に立地するJR広島病院と中電病院、県立広島病院に加え、中電病院と同じ中区にある広島記念病院や舟入市民病院、吉島病院、さらに府中町のマツダ病院の一部機能を集約した「総ベッド数1000床の大規模病院」を26年(予定)に着工し、30年頃を目処に完成させる。
移転後の中電病院の跡地については、多角的な活用を視野に官民で今後検討する。地域医療の維持は全国的な問題であるため、県と中国電などの取り組みは今後のモデル事業として注目されそうだ。なお、949年に中国電の前身会社である中国配電の企業立病院として開院した中電病院は、社員以外でも受診が可能な地域医療の拠点施設となっている。診療科は現在、内科、小児科、小児外科、外科、整形外科、産婦人科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科、歯科、放射線科、リハビリテーション科の計14科。