東電RP 高瀬ダムの堆砂で人工ビーチ整備
東京電力リニューアブルパワー(RP)の高瀬ダム(信濃川水系高瀬川)の堆砂を活用して、観光地として知られる木崎湖(長野県大町市)の湖畔に「人工の白いビーチ」を整備して遊泳者などを誘客する―という、3RとSDGsの推進につながる新たな地域振興プロジェクトがスタートした。同取り組みは、東電RPから高瀬ダムの堆砂・排出土砂の搬出業務を受託する峯村組や県大町事務所、北アルプス森林組合など地元の官民有志が進めているもので、現在は土木工事の埋め戻しに使用している高瀬ダムの堆砂を、木崎湖キャンプ場に隣接する湖畔に敷き詰めて「半世紀前までは多くの遊泳者の姿が見られた昔の木崎湖を復活させて、地域のにぎわいを活性化させる」(峯村浩文・峯村組社長)という環境プロジェクト。同ダムの堆砂は風化した花崗岩が中心で、比重が軽いために「セメントの骨材には不適」(同)であることから、新たな活用策を模索する中で、堆砂を用いて海辺のビーチのような白砂の湖岸を整備して観光誘客と地域活性化につなげる構想を立案。第1回となる試行を、このほど同湖の桟橋周辺で行った。
試行では、高瀬ダムの堆砂3㎥を2tトラックで運び、テスト地に選定した湖岸の5m四方に敷き詰めた。今後、環境への影響や砂浜としての堆砂の定着具合いなどを検証しながら、敷設エリアを拡大させてビーチとしての機能が果たせるか―を確認する。目安として「200~300㎥の堆砂を用いれば湖のビーチ化が可能ではないか」(同)という。発案者である北アルプス森林組合の割田俊明・組合長も「大きな波やクラゲの心配がなく、海とは異なり淡水のためにベタベタしないので、夏季を中心に遊泳者を誘致できる」とみて、試行の成果に注目している。ダムの堆砂処理は電力各社が抱える問題であり、3RとSDGsの推進にもつながる同プロジェクトの商業化が期待される。