エネ庁 浮体式風力実証の候補海域来春公表
経産省エネ庁は、来年度からの開始を予定する、グリーンイノベーション基金を活用した浮体式洋上風力実証について、都道府県からの情報提供を受けた上で、来年6月頃までに実証候補海域を確定・公表する考えを示した。今後の急拡大が見込まれるアジアの市場を獲得するためには、これまでの浮体開発・実証成果も踏まえて、風車の大型化に対応した設備利用率の向上や、コスト低減が不可欠―との判断に基づき、同基金1195億円を充当して「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」を設置。今年度から4テーマを設けて要素技術開発を開始しており、同開発での成果なども活かしたフェーズ2として、来年度にも同実証に着手し、商用化・社会実装に向けた取り組みを加速する。
フェーズ1の要素技術開発では、①次世代風車技術開発事業、②浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業、③洋上風力関連電気システム技術開発事業、④洋上風力運転保守高度化事業―を実施。このうち②③は東京電力リニューアブルパワー(RP)が、浮体や係留システム、高電圧ダイナミックケーブル、浮体式洋上変電所などの低コスト化技術開発に取り組む。また④では、関西電力などによる「ドローンを使った浮体式風車ブレードの革新的点検技術開発」、東電RPなどが「デジタル・AI技術での予防保全、メンテナンスの高度化」の取り組みを進める。
フェーズ2においては、フェーズ1での成果も採り入れて、コスト目標などを設定した技術開発を実施。実証海域は、再エネ海域利用法の枠組みではなく、条例に基づき海域占用を許可する形で選定する。同選定に向けて同庁は、都道府県から〇地元利害関係者の理解が得られている、〇将来、隣接する区域の促進区域化を目指している、〇実証候補区域の水深が50m以上ある―などの条件を満たす区域の情報を受け付ける。同情報を基に実証候補海域を確定・公表した上で、同海域における実証実施事業者の公募を開始。公募参加事業者には、実証を希望する海域での実施計画の策定・提出を求め、審査を経て事業者と国内2か所程度の海域を決定すると共に、来年度にも実証を開始する。