エネ庁 原子力産業支援強化を原子力委に説明
経産省エネ庁は、このほど開催された原子力委員会において、来年度概算要求について説明し、原子力産業・技術支援に関する取り組みを強化する方向性を明らかにした。次世代原子炉の開発・建設に関する検討を進める上で、同庁における革新炉開発予算が低迷している現状を指摘。ピーク時の10年前後に約100億円あった同予算は、その後10年ほどで半減している実情を示した。日本原子力研究開発機構(JAEA)でも、東日本大震災後は新規制への対応や廃炉などにリソースが割かれ、革新炉の研究開発予算が急減。プロジェクト予算の大幅な不足や、人材・技術基盤の維持が困難なことから、結果として民間企業を取り込んだプロジェクト組成・管理の知見蓄積が進んでいない―などの課題を踏まえて同庁は、原子力施策のうち産業・技術支援の来年度予算を増額要求する考えを示した。
具体的には、次世代炉の技術開発として17億円(今年度12億円)を要求。軽水炉SMRについては、日米連携で米国実証炉を建設、日本独自技術での開発も進める。高速炉開発に対しては来年度55・9億円(同43・5億円)を要求し、日米協力に歩調を合わせて、24年からの概念設計開始に向けて研究開発を加速する。また、昨年度補正予算から開始した革新軽水炉実証試験を継続し、設計の加速を図るため、軽水炉の安全性向上技術開発に32・5億円(同23・3億円)を盛り込んだ。同技術開発における補助事業では、事故耐性燃料、高経年化対策、水素処理装置、 リスク評価といった、実ニーズに則した技術開発を重点化する。海外プロジェクトや他産業への展開を目指す、中核サプライヤの支援イニシアチブ「サプライヤチャレンジ」を創設すると共に、部品・素材の供給途絶や、実績ある企業の競争力維持、新規参入などの課題に対して支援を重点化するため、産業基盤強化として24億円(同12・4億円)を求めた。