監視委 新託送でPCB処理増加分は事後調整
電力・ガス取引監視等委員会は、レベニューキャップ制度に基づくPCB費用の収入算入について、期初に規制期間での見積もり値を計上することは、基本的に認められない―と整理すると共に、同期間における単価や数量の見直しに伴う同費用の増加分に対しては、「制御不能費用」として事後的な調整を行うことが妥当―との考えを示した。同制度では、一般送配電事業者の裁量によらない外生的な影響を受ける費用や、効率化が困難な費用については、事業者が予め制御不能費用と定義し、検証において合理的な説明がなされた場合に、その費用を収入の見通しに算入することを認めている。また、外生的な影響を受ける費用であっても、一送電に対して一定の効率化を求めることが妥当―と整理される費用については、予め「事後検証費用」とし、同様に検証を経て収入見通しへの算入を認めている。
同制度に基づき事業者が提出した、事業計画の検証を進める料金制度専門会合に対して監視委は、制御不能費用と事後検証費用を取り上げ、調整力に関する費用以外の項目について検証結果を報告した。同項目のうち制御不能費用の対象とするPCB処理費用に対しては、法令で26年度までの処理完了が求められている各一送電の具体的な計画に基づき、妥当な金額であるか―を検証。その結果、各社は共に、それぞれのPCB処理計画に基づいて過去(参照期間とする17~21年度など)に一定の引当金を計上し、一部の事業者においては、規制期間に発生する費用の一部について、見積もり値として算入していることを確認した。
その上で、規制期間における期初でのPCB処理費用の収入算入を基本的に認めない旨を提示すると共に、規制期間に発生することが合理的に説明された費用として、法律上の義務がない使用中資産の低濃度PCBに関する費用や、資産除去債務の償却費用などは認める考えを示した。なお、関西電力送配電は、他社と比べて規制期間の見積もり額が大きい理由について、18年度以降に柱上変圧器のPCB処理の運用方法を、従来の除染処理による再使用から変更した影響―と説明しており、監視委は今後、そうした経緯による費用増加についても検討する必要性を示した。