特集「農林水産業のカーボンニュートラル実現に向けた電化の可能性」
▼ はじめに~環境負荷の少ない経済発展に向けて
農林水産省は昨年5月、わが国農業が直面する課題解決や、世界的な環境・健康を重視する流れを踏まえ、生産から消費までサプライチェーンの各段階において、新たな技術体系の確立と共に、さらなるイノベーションの創造により、日本の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定した(7ページに掲載の図1参照)。
同戦略については、本紙の昨年の夏季特集号(21年8月16日号)で紹介したが、それを受けて今年4月22日には「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(みどりの食料システム法)」が成立し、その後、5月2日に公布され、先月1日に施行された。この法律は、環境と調和のとれた食料システムの確立に関する基本理念を定めると共に、農林水産業に由来する環境への負荷の低減を図るために行う事業活動等に関する計画の認定制度を設けることにより、農林水産業及び食品産業の持続的な発展、環境への負荷の少ない健全な経済の発展等を図るもの―とされる。
そして、みどりの食料システム戦略本部は、今年6月21日、「みどりの食料システム戦略」に掲げる50年の目指す姿の実現に向け、中間目標として、新たに「KPI2030年目標」を決定した(8ページ掲載の図2参照)。
詳細は農林水産省のホームページをご覧いただくとして、KPI2030年目標のうち、本誌では電力業界に関連する取り組みとして「化石燃料を使用しない園芸施設への完全移行」と「再生可能エネルギ―導入拡大に合わせた、農山漁村における再エネの導入」について紹介したい。
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