エネ庁 今夏今冬に向け小売り対象DR勉強会
経産省エネ庁は、今夏・今冬の厳しい需給状況を見据えて、小売り電気事業者を対象にデマンドレスポンス(DR)に関する勉強会を開催する考えを示した。小売り事業者によるDRは「経済DR」とも呼ばれ、需給状況の改善に加えて、インバランスの回避や需給逼迫時に高騰する卸電力市場からの調達回避などに活用される。さらに需要家にとっても、DRに参加することは、自らの取り組みを通じて需要を抑制し、電気料金を引き下げることになるため、同庁は、小売り事業者がDRメニューやキャンペーンを有することは、需要家に対する付加価値を提供し、需要家との関係強化にもつながる―と指摘。その一方で、同庁が実施した小売り事業者へのアンケート調査からは、回答した事業者の大半がDRメニューを有しておらず、さらにこのうちの多くが「需要家がDR対象として不適」「システムや人員など体制確保が困難」「具体的な手法が不明」といった理由で、DRの実施を検討していないことが分かった。
そうした状況を踏まえてエネ庁は、今夏・今冬に向けて何が実現できるか―という観点から、既存のDRの取り組みなどを踏まえて、効果的で実現可能な経済DRの在り方を整理。経済DRの実施には、需給逼迫の発生に関する予測、DR実施量の把握、需要家へのインセンティブ―がポイントになると共に、これらをどこまで精緻に実施するかによって、経済DRを導入するハードルは変わるが、その手法は一概に定義されるものではなく、小売り事業者の創意工夫により多様な形で実施可能―との考えを示した。その上で、今回整理したDRの実施方法などについて、小売り事業者に周知を図るため、勉強会の開催を提案したもの。
なお同庁は、中部電力ミライズ、北陸電力による低圧需要家向けサービスや、九州電力が取り組む高圧需要家向けDRをはじめとする様々なDR事業を例示しており、自社で独自の需給予測を行い、複数のパラメータを用いて報酬を算定するような高度なDRと共に、簡易な方法でも実践可能なリスクヘッジ手段の一つとなり、簡易的なDRであればコスト面からも実施のハードルは比較的低いことを提示。その上で、今夏・今冬に向けて、小売り事業者それぞれが実施可能なDRを検討することが重要―としている。