監視委 北海道での電圧調整電源公募開始へ
電力・ガス取引監視等委員会は、今秋の実施を予定する、北海道エリアでの23年度分電圧調整電源公募について、同電源の固定費相当額を入札価格とする考えを示した。一般送配電事業者が電圧調整電源の応動を確保するために要する主な費用として、予約確保に関する費用と、追加起動による「持ち替え費用」について整理。このうち予約確保のための固定費として、電源Ⅰの調整力公募と同様の人件費・修繕費・公租公課・減価償却費・その他費用を対象に、最低出力相当分までの範囲を固定費相当額と認め、同額を入札価格とすることを提示。さらに、固定費相当額の精算対象期間は、契約期間ではなく調整電源の運転要請期間に限定し、入札価格作成のため、予め募集要項に想定運転要請期間を明記することを求める。一方で、想定と実績との乖離により入札価格と実費に乖離が生じることは、一送電と発電事業者のいずれかに過剰な負担となり望ましくない―と指摘。同公募では競争が生じ難い―という特殊性を踏まえ、実際の精算は実績運転要請期間で行うことを提案した。
また、追加起動に関する持ち替え費用については、入札価格には織り込まず、都度実費精算すると共に、一送電からの起動指令によって生じた発電余力は、需給調整市場などに応札することを要求事項とする考えを示した。同エリアでは、北海道中央部の基幹系統内において、北海道電力の苫東厚真(石炭、計165万㎾)と石狩湾新港(LNG、56・94万㎾)の2つの大規模火力が接続しており、両電源が作業停止などの場合の調整電源として、同社の伊達火力(重油、計70万㎾)と同社グループの北海道パワーエンジニアリングが運営する苫小牧共同火力(重油、25万㎾)を追加で稼働。また、北本連系設備の緊急作動に対する交直変換器の安定運転を図るため、同連系付近の電圧調整電源に知内火力(重油、計70万㎾)を通年で稼働させている。
これらの電圧調整電源に関しては、経産省が21年に改定した調整力公募ガイドライン(GL)が、電圧調整を目的とした特殊な電源であっても、投資判断に関する情報を与える観点から、公募調達が望ましい―と指摘。同GLを踏まえて監視委は、手続きの透明性を確保するためにも、公募を通じて特殊な電源の調達が行われていることを、対外的に明らかにする意義は大きい―と判断し、北海道エリアでの23年度分から公募を行うと共に、同電源の必要調達量については、電力広域的運営推進機関と北海道電力ネットワーク(NW)が協調して検討する方向性を示している。
さらに監視委は、同調達の具体的要件などは同GLに基づいて北海道電NWが設定し、入札価格の考え方については、同委の制度設計専門会合で検討する考えをこれまでに示していたもので、今回提示した入札価格の基本的考え方を基に、来月にも募集要項案の意見募集を行った上で公募を実施し、11月下旬に落札結果を公表する方針を固めた。