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経産省 30年CCS事業化に向け法整備を加速

 経産省は今年度、30年のCCS事業化を目指した検討をさらに加速する。50年時点の年間CO2貯留量の目安を1.2億t~2.4億tと想定しており、30年中に事業者がCCS事業を開始するためには、来年度からFSなどを開始し、26年度までに最終投資判断を行う必要がある。そうした現下の状況を踏まえて、今年1月に設置し、電気事業連合会の小田直樹・立地電源環境部長、Jパワーの野口嘉一・経営企画部シニアエキスパート、日本CCS調査の川端尚志・取締役総務部長などが委員として参加する「CCS長期ロードマップ検討会」の下に「CCS事業・国内法検討WG」と「CCS事業コスト・実施スキーム検討WG」を新たに立ち上げて、これらの課題について検討を集中的に実施。年内までにCCS長期ロードマップの最終とりまとめを行う。
 これまでの検討結果から同省は、CCS長期ロードマップ案を示しており、30年までにCCS事業を開始することを政府目標として明確に掲げると共に、その達成に向けて、〇事業者と連携し、国が積極的にCCSの適地調査を実施、〇先進的なCCS事業について、欧米などCCS先進国における「手厚い補助制度」などの支援制度を参考に、政府支援のあり方を検討、〇商業化の段階を踏まえ、米国などでの支援措置も参考に、政府支援の在り方を柔軟に検討、〇今年中にCCSに関する国内法整備に向けた論点を整理し、早期に同法を整備―などに取り組む考えを提示した。
 このうち国内法の整備に関しては、事業者がCCSで地下を利用する権利として、新たに「CO2圧入貯留権」を設定する必要性を指摘。また、事業者が負う法的責任の明確化や、CCSの探査を許可制とするなど貯留層の適正な管理について検討を進め事業化を促す。また欧米諸国では、CCS事業に対する政府支援として、事業全体でほぼ100%を補助する措置を設けており、電力などの分離・回収事業者と、上流開発企業の輸送・貯留事業者が、事業実施を可能とするための政策的な対応を検討する。さらに、海外におけるCCS事業の推進に向け、国内で発生したCO2を輸送・貯留するための制度整備についても議論を進める。