NUMO 全国的な議論へ対話活動で強く訴求
原子力発電環境整備機構(NUMO)は、北海道の寿都町・神恵内村を中心とした、今後の対話活動に関する課題と展望を示した。このほど開催された経産省の原子力小委員会放射性廃棄物WGにおいて、文献調査と共に同町村で実施する対話活動の状況を説明。昨年4月にそれぞれの町村に「対話の場」を設置し、これまでに寿都町で8回、神恵内村で6回の会合を開催して、住民の疑問や不安に寄り添いながら、地層処分事業への理解に向けて取り組んでいることを示した。併せて、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、参加者の意見・要望に対する議論や、その実施が十分できているとは言えない―と振り返り、今後の対話活動では、参加者の意向を最大限尊重することを前提に、〇住民が参加しやすい機会づくりの検討・積極展開、〇周辺市町村への丁寧な対話活動、〇全国的な対話・広報活動の積極展開―といった活動を推進する考えを示したもの。
同町村における対話の場でNUMOは、初回から「地層処分について思うこと」をテーマに議論する考えだったが、参加者の意見を踏まえて、まずは運営に関わる「会則」を議論。会の目的については、合意形成の場ではないことを示すため、表現を明確化するなどの措置を講じた。また同町村では、地区単位の説明会を実施したが、人口構成に占める割合が高い年配層には、やや難しい内容であり、関心が必ずしも高いとは言えない―状況のため、寿都町では参加者が少人数となり、神恵内村ではひざ詰め型の小規模説明会の実施は、数か所に留まっていることを課題に挙げた。
これらの状況を踏まえてNUMOは今後、〇子供や高齢者が興味を引くようなパンフレットの作成、〇小規模説明会への専門家の招聘、〇青森県六ヶ所村の住民や先進諸国住民とのウェブ交流、〇若年層の学習機会を教育委員会や学校と協議―などを積極的に展開する考えを提示。また、行政や議会、経済団体などに対して、地層処分事業を説明する機会を創出する。さらに、対話の場の参加者からは「国が前面に立って、第3、第4の候補地の開拓に努めて欲しい」「全国民が関心を持たなければならない話なのに、手を挙げた地域だけが悪者になっている」といった意見が出されたのを受けて、対話型全国説明会や全国的な広告の活用を通じて、国民全体の課題であることを従来以上に強く訴求し、地層処分に関する全国的な議論につなげる考え。