経産省 電力が協力しASEANへ支援強化
経産省は来年度から、JICAや電力各社の協力を得て、東南アジア諸国連合(ASEAN)を対象にした脱炭素化支援のための国際貢献事業を開始する。昨年6月にオンラインで行われた「日本/ASEANエネルギー担当相特別会合」で日本政府が表明した「ASEAN各国の温室効果ガス排出量削減のための100億㌦(約1.2兆円)の金融支援」に基づく取り組みで、化石燃料の使用に国際的な圧力が強まる中、脱炭素化を支援・推進するにあたり「アジア圏は経済の成熟度が国ごとに異なる」(外務省)ことから、JICA事業などを通じてASEAN諸国に関する豊富な知見を持つ日本の電力の協力を得て、再生可能エネルギー分野の技術供与を進めることで、日本の技術のプレゼンスを国際的に高めると共に、新規事業の獲得につなげる。
オールジャパンの計画推進組織を来月に立ち上げた上で、官民で具体的な取り組みについて協議する。支援の対象となるのは、〇島嶼国・離島向け再エネ活用(系統安定化やスマートグリッド構築含む)、〇新規地熱の開発、〇熱利用による工場・ビルの省エネ―などで、各支援テーマ別に検討組織を設けて、定期的な会合を行う。検討の結果、事業化が見込めるプロジェクトはリストアップして、商用性を精査した上で、試行となる試験事業を行って事業化の可否を判断する。取り組み初年度となる22年度は、東京電力ホールディングス/パワーグリッド、JERAによる「低(脱)炭素化に向けた電力セクターに係る情報収集・確認調査」(インドネシア)、九電工による「再生可能エネルギー供給マネジメントシステム研修」(同)、西日本技術開発による「地熱開発における中長期的な促進制度設計支援プロジェクト」(同)、東電設計による「イフガオ州小水力計画フォローアップ」(フィリピン)など、現在展開中、または終了したASEAN諸国におけるJICA受託事業の成果を活かし、試験事業のスキームを構築していく考えだ。