中部電 水道事業への参入可否について検討
中部電力は、水道事業への参入可否についての検討を開始する。既報のように昨年11月に3年半ぶりに更新した「グループ経営ビジョン」の中で打ち出した「新規事業に2000億円を投じる」の事業構想に基づく取り組みで、人口の減少や過疎化による利用者の減少に加えて、設備の老朽化などにより、公営水道事業が不採算部門になっている自治体が全国的に近年、急増していることから、18年の改正水道法の施行によって民営化のスキームが可能となった「コンセッション方式」(水道事業に関する運営権の民間企業への譲渡・売却)での業務受託の実現可能性を探ることで、中部電がブランド・ステートメントに掲げる「人と人、人と社会をつなぎ、むすびあわせることでコミュニティを支えていきたい」の実現につなげる。取り組みの第一弾として22年度より、水道関連企業や水処理会社の協力を得て、新規事業としての採算性などを検証する考えだ。
水道事業の業績悪化は深刻で、厚労省が毎年行っている時系列調査では、人口減少などによる水道水の需要減少により、料金収入は01年度の2兆5463億円をピークに減少が続いており、48年後となる70年におけるの需要水量は「00年度に比べて約40%も減る見通し」(同省医薬・生活衛生局水道課)という。同様に水道管の経年化も進んでおり、総務省によれば「法定耐用年数を超えた水道管延長の割合は全国で15%にのぼる」(同省自治財政局公営企業経営室)など、課題が山積している。そのため、全国の自治体に先駆けて宮城県が昨年12月、日立製作所やメタウォーター、東急建設、橋本店など10社が出資する「みずむすびマネジメントみやぎ」と、上下水道と工業用水の運営権を一括売却する契約(20年間の期限付き、対価10億円)を締結。これにより、民間企業による県水道事業の運営が今年4月からスタートするため、中部電も同取り組みに注目している。
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