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関西電 「ロケットの町」串本町の発展の礎に

 関西電力が、原子力計画の中止により用地を寄付した和歌山県串本町(旧・古座町)に、小型ロケットを打上げるための発射場が近く整備される。清水建設やIHIエアロスペース、日本政策投資銀行など5社が共同出資した、同ロケットによる「商業宇宙輸送サービス」の実現を目指すスペースワン(東京都港区)が進めているもので、名称は「スペースポート紀伊」。用地は、関西電が寄贈した市内田原地区の30万㎡を含む町有地など130万㎡で、町は発射場の完成後、38年までの18年間、用地を同社に無償貸与し「ロケットによる町おこしを進める」(市企画課)という。

 国内初となる「小型ロケットの民間発射場」は、ロケットを打ち上げる射点のほか、発射場の管理や人工衛星の整備・点検、ロケットの発射管制を行う総合指令棟、ロケットの組立・点検を行うロケット組立棟―などで構成。スペースワンは、スペースポートから発射する自社ロケット「カイロス(KAIROS)に搭載した衛星で、地上の画像を撮影・分析し、様々な業界にデータとして提供する新規サービスを展開する。スペースポートの完成を契機に町は「ロケットの町=串本町」の認知・周知を進め「打ち上げを見に来る観光客によって、地域経済の活性化を図る」(同)考え。県の試算では、スペースポートが同町に及ぼす観光などの経済効果は「10年間で670億円に達する」といい、関西電の厚意が新しいタイプの地域振興策に結実した形だ。なお、スペースポートの完成を待ってスペースワンは「今年度中に1号機を発射する」予定で、その後、20年代の半ばに「年間20機の打ち上げを目指す」という。