中国電 CO2有効利用コンクリをCOP26で展示
中国電力は、鹿島建設、デンカ、ランデス、三菱商事と共同で商用化を実現したCO2有効利用コンクリートが、今月末から来月12日まで英国・グラスゴーで開催される、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の会場において、日本が誇る脱炭素化技術として世界に発信されることが決まった。環境省が同会場に設置する「ジャパン・パビリオン」での展示にあたり、今年7月に実施した公募の結果、同省はこのほど実地展示12件、バーチャル展示33件を選定。このうち、コンクリート製造時のCO2排出量を実施ゼロ以下にした、中国電などによる「世界初の商業化済みカーボンネガティブコンクリート」が高く評価され、パビリオンでの展示と共に、オンライン上で行われる「バーチャル・ジャパン・パビリオン」の展示技術に選ばれたもの。
中国電は08年から鹿島、デンカと共同で、同コンクリートの研究開発に取り組み、三隅火力(石炭、100万㎾)の排ガスに含まれるCO2ガスを利用した環境配慮型コンクリート「CO2―SUICOM(シーオーツー・スイコム)」として11年に開発。スイコムは、材料に特殊な混和材を含み、同材がCO2を吸収して硬化する性質などを利用することで、CO2実質ゼロ以下の製品を実現しており、既に国道の道路ブロックなどに採用されている。一方で、一般製品と比較して製造コストが高く、また適用製品が限定される―といった課題もあり、現状では普及拡大に至っていない。
そのため同社は、鹿島、三菱商事の3社で昨年7月から、NEDOのカーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発の委託事業として、同課題の解決に向けた研究開発を推進。広島県大崎上島のCO2有効利用拠点における屋外大型試験などを経て、鉄筋プレキャストコンクリート製品やコンクリート構造物へ適用可能とする技術を、20年代中頃にも商用化させ、50年カーボンニュートラルにつなげる考え。