経産省 安管審見直し保安力に応じた規制へ
経産省は、事業者の保安力に応じた電気保安規制に関する検討の一環として、「安全管理審査」の対象・内容などの見直しを進める。このほど開催した電力安全保安小委員会電気保安制度WGにおいて、高度な保安力を有する事業者の行政手続きを簡略化する新たな仕組み「認定高度事業者制度」の具体案を提示。さらに、同制度の導入に伴って、事業者が自己責任の下で構築する、保安確保のための体制を国が審査する安管審についても、新制度との整合性などを踏まえた検討を行う方針を示した。電気事業法に基づく同審査は、事業用電気工作物の設置者が使用前・運開後の一定期間ごとに、設備の技術基準への適合性などを自主的に検査すると共に、その検査体制について国または登録審査機関による審査を受けることを義務付けている。工作物単位での受検が原則だが、保安管理に関する十分で高度な取り組みを継続している設置者は、同一設置者が有する同工作物を一括して受検することを容認。さらに、同審査の結果、「S」または「A」の評定を得た設置者に対しては、定検周期の延長といったインセンティブが与えられ、設置者による自主保安管理体制を重視した制度となっている。
安管審でS評定を取得した事業者について同省は、高度の運転管理ができる者であり、新たな認定制度の対象とする高度な保安力を有する者に通じる―と判断。今後の制度設計にあたり、両制度の整合性を図る必要性を指摘した。具体的には、安管審評定のS区分を廃止し、高度保安事業者の認定基準に整理する方向で検討。評定A・Bに関しては、整理・集約することを検討する。一方で、同審査の対象となる火力の定検に関して、設備によって法定検査周期が異なることが、運転計画上の制約となっている―との声を踏まえて同省は、「テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」に対しては、検査の時期・周期や連続運転期間について、事業者が設定することを基本にすると共に、定期的な検査から設備状態に基づく検査や常時監視への移行を認める仕組みを提案した。
また、これまで20年以上にわたり審査業務を担当してきた、安管審の登録審査機関が保有する専門的な知見・経験を活かして、同機関が審査可能な対象設備の拡大を検討。現行で同機関の審査対象とする火力・風力に、水力、太陽光、送変電、需要設備などを加えて、導入拡大が進む太陽光などの設置者の保安力向上につなげる考えを示している。