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エネ庁 再エネ出力制御低減へ検討の方向性

 経産省エネ庁は、再生可能エネルギーの出力制御を低減させるため、〇出力制御の効率化、〇供給対策、〇需要対策、〇系統対策―の各取り組みについて、今後の検討における基本的方向性を示した。このほど開催された電力・ガス基本政策小委員会系統WGでは、九州エリアでの出力制御の現状や、出力制御の低減に向けた取り組み状況が北海道電力ネットワーク(NW)、東北電力NW、四国電力送配電、九州電力送配電、沖縄電力からそれぞれ示された。このうち18年度以降、出力制御が行われてきた九州送配電エリアでは、21年度5%と見込まれる出力制御率がさらに高まる可能性がある一方で、その他エリアでも新たに、出力制御が発生する蓋然性が高まっていることが指摘されており、同庁は現状を踏まえた対策の具体的な検討を進めるにあたって、年内を目処に、情報発信の強化を含めた各対策の基本的方向性について取りまとめる考えを示していた。
 一送電各社におけるこれまでの取り組みでは、前日段階で出力制御の実施を判断しなければならないオフライン電源から、当日段階で効率的に出力制御が行えるオンライン化を促進しており、来年からは経済的補償を行う「オンライン代理制御」の仕組みも導入される。また、出力制御量を発電事業者自らが分析・シミュレーションできるよう、系統情報の公開・開示を行うと共に、自らシミュレーションすることに限界がある小規模事業者を考慮して、一送電が出力制御の見通しを試算し、毎年同WGに報告。出力制御を実施した日や時間帯、指示を行った出力についても公表しており、これらの取り組みを踏まえて同庁は、出力制御の予見可能性をさらに高める観点から、可能な限りリアルタイムに近く、30分値で電源別にビジュアル化した情報公開ついて、燃料種別の公開の是非を含めて検討を深める。一送電による出力制御見通しの試算では、電源の稼働状況に関する試算条件を見直すと共に、出力制御を行っているエリアにおいては、例えば年に2回、実施状況と年度の見通しを示すなど、情報発信を強化することを提案した。
 また、供給対策として検討する、火力の最低出力基準の引き下げについて同庁は、メーカーからヒアリングを行った上で、技術的な最低出力を精査。全国一律の基準とするのではなく、出力制御の実施状況や各エリアの特性に応じて、異なる基準を設けることも検討する。さらに最低出力の引き下げを促すインセンティブとして、出力制御時に稼働する発電所名の公表や、最低出力を引き下げない場合の経済的なディスインセンティブを検討する考えを示した。