エネ庁 地域との再エネ情報連絡会10月開催
経産省エネ庁は、再生可能エネルギーの大量導入にあたり、地元理解の促進に向けた取り組み強化の一環として、「地域社会における持続的な再エネ導入に関する情報連絡会」を、来月にも2年ぶりに開催する。同連絡会は、地域持続型の再エネ利用に関する、関係者間の情報共有の場として18年度に設置。昨年度は、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、北海道、九州などの数か所・地域単位で、オンライン会議などを通じて行っており、全国規模での開催は、19年12月の会合以来となる。第6次エネルギー基本計画素案では、再エネについて「地域との共生を図りながら最大限の導入を促す」「地域と共生する形での適地確保」といった方向性を示しており、同連絡会ではこれら政府の動きを共有すると共に、条例データベースや申請時点での情報共有など、自治体との連携に関する取り組みを紹介する。なお今回は、オンライン会議形式での開催を予定しており、同庁は従来以上の多くの自治体の参加を期待する。
FIT制度の導入を契機に、規模や属性も異なる様々な事業者が参入・拡大した太陽光を中心に、安全面、防災面、景観・環境影響などへの地域の懸念は、依然として存在している。同庁は16年10月から、ホームページ上に「不適切案件に関する情報提供フォーム」を設けて、地方自治体や住民からの懸念事例の相談を受け付けており、相談件数は昨年9月までの計574件から、ここ1年で大幅に増加し、今年7月末には計738件となった。同相談の内容について同庁は、〇地元の理解を得ないまま事業が進む、〇適正な発電事業が一貫して行われるか、〇事業実施の大前提となる安全に関する取り組み―といったことへの懸念に大別しており、地域との共生に向けて自治体との連携強化を図ると共に、認定情報をマップ形式で提供するなど新たな対応を検討し、適正な事業実施へ環境整備を進める考え。
同庁は、19年の再エネ導入量実績1853億kWhに対して、政策対応を強化した場合の30年度の導入見通しを3130億kWh程度と試算。同見通しの実現に向けて再エネ導入量を最大限に上積みしていくには、系統制約、コストに加えて、地域との共生が喫緊の課題―と指摘する。一方で、政府が示す「30年度46%削減」には、さらなる施策強化が必要となり、その効果が実現した場合の野心的な水準として3360億~3530億kWh、総発電電力量に占める再エネ比率36~38%の導入を目指しており、同施策強化でも地域と共生した再エネの導入推進が重要となっている。