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国交省 東電RPと協力しダム再生事業推進

 国交省は、東京電力リニューアブルパワー(RP)の協力を得て計画実現を目指す、国営大町ダム(信濃川水系高瀬川)の再編事業の一環として、2つの設計業務を今年度より新たに開始する。既報のように同事業は、観測史上最大となった983年の洪水で、北陸地方整備局が管理する大町ダムの3か所の堤防が決壊し、周辺域に家屋全壊などの被害が発生したことから、同洪水と同規模の洪水が発生しても堤防の決壊がないように、同ダムの上流に立地する東電RPの高瀬ダム(同)、七倉ダム(同)を国交省の所有に変えた上で、北陸整備局が主導する国の直轄工事として、両ダムの発電容量の一部と大町ダムの水道容量の一部を洪水調節容量に転用して、下流部の信濃川支流の高瀬・千曲両河川流域の治水機能を向上させる―という官民3ダムの再編を目指した総事業費230億円の大型プロジェクト。
 15年度から行っていた実施計画調査の集約結果に基づき北陸整備局は、昨年度より、再編工事に向けた流入土砂対策となる「設計検討、土砂搬出施設詳細設計」を実施。さらに今年度は、①大町ダム等再編電気通信設備等詳細設計、②ダム管理用制御処理設備詳細設計―を、電力やコンサルに業務委託して行う。このうち①は、大町ダム再編に関する電気通信設備の詳細設計で、予備設計や東電RPとのこれまでの協議結果を踏まえて、工事発注に必要となる設計図書や、施工に必要となる申請書類・関係機関協議資料などの作成を行う。同様に②は、国交省が管理する大町ダムと東電RPの高瀬、七倉両ダムに新設するダム管理用制御処理設備の詳細設計で、①、②共に10月中旬に、委託会社を決定する(業務履行期間はいずれも22年6月末まで)。
 両設計に基づいて、北陸整備局が至近年内に行う本体工事では、再編の対象となる3つのダムのうち、東電RPが管理する発電ダムの高瀬、七倉ダムは、発電容量のうち合わせて1200万㎥を洪水調節容量に活用。また、国管理の多目的ダムである大町ダムは、水道容量から67万㎥をそれぞれ洪水調節容量に振り替える。ダム関連の工事としては高瀬、七倉ダムで「洪水調節を行うためのダム制御・監視制御設備の整備を行う予定」(同局千曲川河川事務所)だが、堰堤のかさ上げは予定していない。また、流入土砂対策として、高瀬ダム上流部~大町温泉郷(長野県大町市)間に、土砂を搬出する全長約14㎞のベルトコンベアを設置する。このうち3区間約7㎞はトンネルを新設し、2区間約5㎞は旧高三導水路を活用するスキームを採る予定だ。