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九州電 指宿市と山川地熱余熱活用事業推進

 九州電力は、自社の山川地熱(2.6万㎾)が立地する鹿児島県指宿市の要請に応え、同市が計画する新規事業「地熱の恵み活用プロジェクト(地熱余剰熱有効利用事業)」に協力する。同取り組みは、市が九州電から山川地熱内の土地(3500㎡)を借用(期間は20年以上50年未満)すると共に、余剰熱(120℃の高温高圧水を1時間あたり約30t予定)を購入して、事業化を希望する養殖・ハウス栽培事業者に提供して営農を支援。これにより「市内経済の活性化と地場産業の拡大を目指す」(市総務部市長公室)ための官民共同の地域振興事業。市の立案に九州電が協力して、15年から事業化を検討してきた同プロジェクトは当初、市が所有する公営温泉施設と老人福祉センターの敷地に蒸気井を整備し、九州電とスポーツクラブ運営のセイカスポーツセンター(鹿児島市)が建設する予定だった新規地熱(出力未定)に蒸気を売却しながら、余った熱水を農業や観光に活用する―というスキームを予定していた。
 しかし、共同事業者のセイカスポーツセンターが「本業である運動施設の管理業務に集中したい」との理由で、計画から離脱したことから、市と九州電が協議して事業の継続を確認。さらに市が一昨年に行ったサウンディング型市場調査の集約結果を踏まえて行った公募により、大手コンサルのオリエンタルコンサルタンツと同社子会社のオリエンタルアグリ、市内企業のエールの3社グループを地熱余剰熱有効利用事業の優先交渉権者に決定。3社の主導で山川地熱内に農産物の加工工場を整備し、23年6月よりオクラやスナップエンドウなど農産物の加工事業を行うことになったもの。なお、同取り組みにおいて九州電は、市に対して、土地と熱を提供するだけでなく、自社グループの持つ豊富な知見・技術などを提供して同事業を支援する。